【Globali】
トランプ米政権、オバマ前政権の発電規制を廃止へ、EPA長官が発表(2017/10/10)
米環境保護局(EPA)のスコット・プルイット長官は9日ケンタッキー州で、翌日の10日に、オバマ前政権時代に導入された火力発電所の二酸化炭素排出規制「クリーン・パワー・プラン」を撤廃する文書にワシントンで署名することを明らかにした。長官の発言は、フォックス・ニュースがテレビ放映して伝えた。
同プランは、米国内の火力発電所から排出される二酸化炭素の量を2030年までに2005年対比で32%削減するもので、オバマ前政権が2015年に発表していた。各州に発電方法の見直しを求め、石炭から太陽光や風力、天然ガス等に移行することを義務付け、排出量の目標を定めさせるもので、米国の中核的な温暖化防止対策だった。先日の「パリ協定」からの離脱表明に続く同プランの撤廃により、米国の対策は一段と後退することになる。...
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同プランは、米国内の火力発電所から排出される二酸化炭素の量を2030年までに2005年対比で32%削減するもので、オバマ前政権が2015年に発表していた。各州に発電方法の見直しを求め、石炭から太陽光や風力、天然ガス等に移行することを義務付け、排出量の目標を定めさせるもので、米国の中核的な温暖化防止対策だった。先日の「パリ協定」からの離脱表明に続く同プランの撤廃により、米国の対策は一段と後退することになる。
プルイット長官は9日、「同プランは勝者と敗者を生む」として、トランプ米大統領ら政権の「環境規制が石炭産業などの業種から雇用を奪う」とのコメントに共鳴する発言をしている。今回の発表を行ったケンタッキー州は歴史的に石炭産業で栄えた州として知られ、同プランへの反対は根強い。長官は、同州選出のミッチ・マコーネル上院院内総務とともに同州ハザードの石炭採掘関連の製品を販売する会社でのイベントに登場した。その会社では最近、60%もの労働者をレイオフせざるを得なくなったという。
南部のルイジアナ州なども同様で、同プランに対して訴訟を提起している27州の内の1つでもあり、同州選出の議員らがプルイット長官の発表を歓迎した。但し、同州は石油や天然ガスも産出し、石炭への依存度が高くないため、同プランの廃止によってどの位の影響があるかは定かではない。
米連邦最高裁は昨年、産業界やルイジアナ州など諸州からの訴訟の提起を受けて同プランの発効を停止させているが、それにも関わらず、同プランの内容は、コストの安い天然ガスや再生可能エネルギーの普及と相まって、石炭関連工場の労働者の大量退職に繋がっている。
トランプ大統領は同プランの撤廃を大統領選挙の公約に掲げており、米国経済を損なうまでの行き過ぎた政策だとして、今年の3月に大統領令を発布して見直しを指示した。当時トランプ大統領は同プランを引用し、「これほど炭鉱労働者やエネルギー関連企業を脅かす規制はおそらくない。」と述べていた。
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