米国務省は6日、米政府がサウジアラビアに最新鋭の迎撃ミサイルシステム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」を150億ドル(約1兆7,000億円)で売却することを承認したと発表した。30日以内に米議会がこれを否決しない限り、売却される見通しである。多くの米メディアが報じた。
トランプ米大統領が5月にサウジを訪問した際、総額1,100億ドル(約12兆円)の武器売却をサウジと合意しているが、THAADもその一環であり、概要は既に明らかになっていた。この取引によりサウジは、THAADの発射台44基、迎撃ミサイル360発、コントロールステーション16基とレーダー7基の他、バッテリー保守装置、発電機等を手に入れることになる。
米国防総省の国防安全保障協力局は「この売却は米国の国家安全保障と外交政策の国益を促進し、イランなど地域の脅威に直面するサウジアラビアおよび湾岸地域の長期的な安全を支援するものだ。...
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トランプ米大統領が5月にサウジを訪問した際、総額1,100億ドル(約12兆円)の武器売却をサウジと合意しているが、THAADもその一環であり、概要は既に明らかになっていた。この取引によりサウジは、THAADの発射台44基、迎撃ミサイル360発、コントロールステーション16基とレーダー7基の他、バッテリー保守装置、発電機等を手に入れることになる。
米国防総省の国防安全保障協力局は「この売却は米国の国家安全保障と外交政策の国益を促進し、イランなど地域の脅威に直面するサウジアラビアおよび湾岸地域の長期的な安全を支援するものだ。」と声明で述べた。
イランは中東で最大規模の弾道ミサイル開発計画を有しており、米国や湾岸アラブ諸国とイスラエルに対する必須の防衛力とみなして計画を進めている。サウジアラビアと米国は、中東地域における同国の攻撃的な姿勢を強く批判しており、トランプ米大統領は、来週米議会に対し、2015年7月のイランとの核合意は米国の国益にならないとして、これを否定する報告を行う方針であると米メディアが報じている。
高度なレーダーシステムを備えた最先端の迎撃ミサイルシステムの一つであるTHAADは、中東では既にサウジの隣国のカタールとUAE(アラブ首長国連邦)に提供されており、サウジへの提供は、イランの弾道ミサイル攻撃を想定した防衛力として行われる。米国は今年韓国にTHAADを配備し、北朝鮮の短距離ミサイルの防衛用としているが、中国から激しい批判を受けている。中国はTHAADの強力なレーダーが、同国の領土を詳細に探査するために使われているという懸念を持っている。
米国務省の発表に先立つ5日、サウジアラビアのサルマン国王は、王室として初めてロシアを訪問し、プーチン大統領と会談して、ロシアの高性能地対空ミサイルシステム「S-400」の購入の仮契約を交わした。最近トルコなどがロシアから購入したのと同じシステムであるという。
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