フランスのエドゥアール・フィリップ首相は25日、エネルギー転換等の環境対策について、2022年までの5年間に200億ユーロ(約2兆6,400億円)を投資する計画を発表した。ロイター通信等のメディアが報じている。
この200億ユーロの環境関連投資は、2018年から2022年の間に実施される総額570億ユーロの公共投資計画の一環であり、住宅等の建築物のエネルギー効率の向上に90億ユーロ、再生可能エネルギーの普及に70億ユーロ、環境にやさしい車への速やかな移行に40億ユーロ、それぞれ投資をすることとしている。歳出の大幅な削減が求められる中、環境対策にかける予算は確実に確保するとの政府の意向が感じられる。
住宅等の建築物は、温室効果ガスの排出量の20%を占めており、政府は断熱化等のエネルギー効率向上のプロジェクトに90億ユーロの投資を計画している。...
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この200億ユーロの環境関連投資は、2018年から2022年の間に実施される総額570億ユーロの公共投資計画の一環であり、住宅等の建築物のエネルギー効率の向上に90億ユーロ、再生可能エネルギーの普及に70億ユーロ、環境にやさしい車への速やかな移行に40億ユーロ、それぞれ投資をすることとしている。歳出の大幅な削減が求められる中、環境対策にかける予算は確実に確保するとの政府の意向が感じられる。
住宅等の建築物は、温室効果ガスの排出量の20%を占めており、政府は断熱化等のエネルギー効率向上のプロジェクトに90億ユーロの投資を計画している。主に低所得者向けの家屋や政府機関のビルを対象とする。断熱状態の悪い低所得者層の家屋と公営住宅はこれによって半数に減り、政府機関のビルの4分の1が環境基準に従って改修されることが見込まれている。この計画では、毎年75,000件、5年で375,000件の住宅の改修に資金が投じられる予定である。
政府はまた70億ユーロを投資し、再生可能エネルギーの伸びを今後5年で70%増加させる。投資計画には気候変動と戦うための調査研究や技術革新が含まれ、フランスの低炭素化とエネルギー効率の向上を加速する。エネルギー効率向上への投資によって、住宅部門は恩恵を受ける。電力需要が抑えられるため電力会社等の公益事業にとっては必ずしも得策とは言えないが、再生可能エネルギーへの投資による恩恵もあるものと思われる。
その計画はまた、環境汚染物質を出さないクリーンな車への移行に40億ユーロを投資する。輸送産業は温室効果ガス排出量の3分の1を占めており、環境への影響は大きい。道路や鉄道にも注目し、地域社会の交通網の利用を促進するとともに、環境汚染物質を排出する旧式の車を、環境にやさしい新型モデルに交換できるよう、低所得者層の家庭を支援していく。本計画では、1,000万台の旧型車の使用を段階的に減らしていくが、1997年以前に登録されたガソリン車か、2001年以前に登録されたディーゼル車を主な対象として取り組んでいくという。
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