OECD(経済協力開発機構)はフランス・パリで20日、世界経済の見通しを発表した。この報告書によると、世界全体の2017年の経済成長率(GDP伸び率)の予測は3.5%、2018年は3.7%となっており、前回6月の予測と比較すると2017年は変わらず、2018年は0.1ポイント上昇し、状況はやや好転した。全ての主要先進国の経済は想定されたペースで推移しているとしており、主要新興国については順調な成長を予測している。
地域別に見ると、北米では、米国は力強い個人消費と企業の投資に裏打ちされ、今年が2.1%、来年は2.4%の成長率を予測している。カナダもそれぞれ3.2%、2.3%と高い。
欧州ユーロ圏全体では、今年2.1%、来年1.9%の域内成長率を見込んでいる。圏内の成長率は今年上半期、予想を上回る伸びを示し、政治的不透明感の後退、就業率の上昇、金融政策の緩和等の状況の中で、消費や投資の拡大、輸出の増加等により、域内全体に成長基調が見られるとしている。...
全部読む
地域別に見ると、北米では、米国は力強い個人消費と企業の投資に裏打ちされ、今年が2.1%、来年は2.4%の成長率を予測している。カナダもそれぞれ3.2%、2.3%と高い。
欧州ユーロ圏全体では、今年2.1%、来年1.9%の域内成長率を見込んでいる。圏内の成長率は今年上半期、予想を上回る伸びを示し、政治的不透明感の後退、就業率の上昇、金融政策の緩和等の状況の中で、消費や投資の拡大、輸出の増加等により、域内全体に成長基調が見られるとしている。国別にはドイツは今年が2.2%、来年2.1%とそれぞれ上方修正され、フランスも今年は1.7%と0.4ポイント引き上げられ、来年が1.6%となっている。イタリアは今年が1.4%で、来年は1.2%とやや減速予想となった。
ユーロ圏外では、英国は消費と投資の減速から今年は1.6%と昨年の1.8%から低下、来年はさらに減速が見込まれること、またEUからの離脱プロセスの不透明感から1.0%に落ち込むと予測されている。雇用情勢は改善しているが、生産性の低さや賃金上昇が滞っており、インフレ懸念もあるとOECDは分析している。
日本はG7で過去25年間最も低成長を続けて苦しんだが、今年は1.6%と安定成長の予想だ。賃金の伸びが鈍いことなどから来年は1.2%となるが、かつてより成長は加速すると見られている。
新興国では、多くの石油輸出国で成長が抑えられものの、中国は今年6.8%、来年が6.6%で、インドはそれぞれ6.7%、7.2%。ロシアは2.0%、2.1%と順調な成長が見込まれる。
OECDは各国の政治家に対し、経済成長や労働者のために財政的、構造的な支援を実施し、税収の利用を巧みに行って、より総括的な成長を達成するために財政支出をするよう求めている。また生産性、労働者の賃金やスキルを高めるため、構造改革に取り組む必要性を強調している。
閉じる