トランプ米大統領は、幼少時に不法に米国に入国した移民について、国外への強制退去を当分免除する制度(DACA)を廃止することとした。但し、議会に対し、6カ月以内に制度見直しの法案を策定する猶予を与える意向であることも明らかになった。ロイター通信他の米国メディアが3日に報じている。
DACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)はオバマ政権時代の2012年に始まったプログラムで、16歳になる前に不法移民として入国し、労働許可を申請した不法移民の強制退去を一時的に免除し、更新可能な2年間の滞在許可を与える制度である。米国メディアの報道では、トランプ大統領は議会に代替の法案を策定する時間を与えるため、制度廃止の実行を遅らせることにしたと、2つの情報源が明かしたという。
DACAは、しばしば「ドリーマー」と呼ばれる、およそ80万人の若者を強制送還処分から救ってきた。ドリーマーはメキシコ系住民が多く、幼少時に大人と一緒に不法入国したので、自らに非は無いとされる。
トランプ大統領は、不法移民の厳重な取り締まりを2016年の選挙キャンペーンの目玉とし、1月に就任して以来、強制送還処分等の措置を強化してきた。本制度についても即時廃止を訴えてきたが、これに対しては民主党ばかりでなく、共和党の重鎮からも強い反対がある。ポール・ライアン下院議員は1日、本制度を無効にしないよう促し、オリン・ハッチ上院議員もこれに同意している。米国企業のトップらも、移民が重要な経済的貢献をしているとして、本制度の廃止は米国の経済成長や税収を直撃するとして反対していた。
しかし一方、トランプ大統領の当初の考え方を支持してきた人々は、議会に立法措置の選択肢を広く与えることには不満であると思われる。移民問題に関するタカ派として知られるアイオワ州の共和党下院議員、スティーブ・キング氏は3日夜、ツイッターで反対を表明した。
トランプ大統領は、この制度を終わらせるか否かについて熟慮を重ね、3日にホワイトハウスの高官らと対応方針を議論したとされる。5日に廃止と6カ月の猶予期間の方針について発表する予定であるという。
閉じる