この買収について米SECの職員レベルでは承認が推奨されていたが委員長の段階で、国家安全保障に脅威を与える可能性があるという懸念で更に詳細な情報が必要として承認が延期された。米対外投資委員会(CFIUS)は、昨年12月にこの買収を承認している。
米シカゴ証券取引所の買収でCASINはCHXの49.5%の株式を保有する見込みだ。CASINはCHXに最大2,300万ドルを投資して、この10年間休眠状態だった米シカゴ証券取引所での株式公開を復活させ、米国での株式公開を目指す中国や発展途上国の新興企業の株式公開を扱うことを中心戦略とする予定だ。...
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この買収について米SECの職員レベルでは承認が推奨されていたが委員長の段階で、国家安全保障に脅威を与える可能性があるという懸念で更に詳細な情報が必要として承認が延期された。米対外投資委員会(CFIUS)は、昨年12月にこの買収を承認している。
米シカゴ証券取引所の買収でCASINはCHXの49.5%の株式を保有する見込みだ。CASINはCHXに最大2,300万ドルを投資して、この10年間休眠状態だった米シカゴ証券取引所での株式公開を復活させ、米国での株式公開を目指す中国や発展途上国の新興企業の株式公開を扱うことを中心戦略とする予定だ。中国では現在何百もの企業が株式公開を待っているとされる。中国企業が米国で証券取引所を最初から構築するには米規制当局の承認を得るために費用と時間がかかるが。シカゴ取引所の買収でCASINはそれを節約した。
米シカゴ証券取引所は地元企業の株式による資金調達支援のため1880年代に開設されて1990年代までは盛況だったが、株式取引のデジタル化でニューヨークに取引が集中したことで近年は、全米での株式取引のシェアは1%未満となっていた。
過去中国は米国の知的財産を盗み、サイバー攻撃を実施してきた歴史や、米金融市場の重要な部分を外国投資家に売却することは危険であると一部の米共和党・民主党の議員は指摘してこの買収に反対している。中国が米国の証券取引所にアクセスできるようになることで国家安全保障へのリスクが生じるとする専門家もいた。シカゴ証券取引所で取引する中国企業が米国投資家にとって安全な投資になるかどうか、中国はマネーゲームにこの取引所を利用するのではと疑問を呈する専門家もいる。
昨年2月の買収発表時、当時大統領候補だったトランプ米大統領はこの買収を強く批判していた。買収が承認されるかどうかは米国の金融市場での中国の影響力をトランプ米政権がどう抑制するか検証するものとして注目されている。一方で中国からの今回の直接投資は雇用を創出し、世界から投資資金を呼び込み、米国経済に貢献すると肯定的に評価する声もある。
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