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【Globali】
米連邦政府機関閉鎖・債務不履行問題とハリケーン・ハービー:影響と可能性予想(2017/08/31)
米議会は9月に2つの予算に関する問題を抱えている。第1は米連邦政府が米議会により9月29日までに債務限度額の引き上げの承認を受ける問題、第2は10月からの新年度の歳出法案を議会で可決することだ。この2つが議会を通らなければ米連邦政府機関の閉鎖と債務不履行が起こる恐れがある。
トランプ米大統領が8月22日、米大統領選挙で公約の米・メキシコ国境間の壁の建設法案を米議会が拒否すれば、連邦政府機関を閉鎖すると述べたことで注目を集めている米連邦政府機関閉鎖と債務不履行問題について、S&P世界格付担当のエコノミストは米連邦政府が債務限度額を引き上げず債務不履行に陥った場合、米政府支出の削減で米GDPが年率約4%減少することで米経済は後退し、2008年のリーマンショックよりも壊滅的な打撃を受ける可能性があるとしている。...
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米議会は9月に2つの予算に関する問題を抱えている。第1は米連邦政府が米議会により9月29日までに債務限度額の引き上げの承認を受ける問題、第2は10月からの新年度の歳出法案を議会で可決することだ。この2つが議会を通らなければ米連邦政府機関の閉鎖と債務不履行が起こる恐れがある。
トランプ米大統領が8月22日、米大統領選挙で公約の米・メキシコ国境間の壁の建設法案を米議会が拒否すれば、連邦政府機関を閉鎖すると述べたことで注目を集めている米連邦政府機関閉鎖と債務不履行問題について、S&P世界格付担当のエコノミストは米連邦政府が債務限度額を引き上げず債務不履行に陥った場合、米政府支出の削減で米GDPが年率約4%減少することで米経済は後退し、2008年のリーマンショックよりも壊滅的な打撃を受ける可能性があるとしている。また米連邦政府機関の閉鎖は、第4四半期(10~12月)のGDP成長率を週当たり0.2%、65億ドル低下させるとしている。S&Pは、米上議会が債務限度額引き上げ法案を承認し米国の格付けがAA+を維持すると予想しながらも、承認されなければ政府の混乱によるバタフライ効果(訳注:わずかな変化を受けると、無かった場合と比べその後の状態が大きく変わる現象)で、国立公園の閉鎖、公的機関に依存する民間企業の混乱、小売売上の減少等により経済全体に及ぼす影響が大きくなるとしている。
一方、ゴールドマン・サックスのエコノミストは今週テキサス州に上陸した巨大ハリケーン・ハービーに対する大規模災害に米連邦緊急事態管理庁が復興のため、大きな予算が緊急に必要となると見込む。このために米議会は今後数週間で自然災害救援資金と債務限度額引き上げを組み合わせた法案を通す可能性が高まったとし、米連邦政府機関閉鎖と債務不履行が実現する可能性は小さくなったとして、米連邦政府機関の閉鎖の可能性を数週間前の予想の50%から35%に引き下げた。これは米連邦政府に救済が求められているときに米連邦政府機関を閉鎖すれば通常よりも大きな政治的リスクをもたらすためだとし、米議員とトランプ米大統領は意見の不一致を解決する方法を見つけるだろうとしている。ハリケーン・ハービーは今年後半に重要な政治的意味を持つとしている。
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