米小売大手のウォルマートは、空中に浮かぶ飛行船型の倉庫を起点に、顧客がオンラインで注文した商品をドローンで直接届けるサービスを考案していることが、同社が行った米国内の特許申請により判明した。アマゾンは昨年同様のシステムで特許を取得しており、今後両社による「空中戦」が始まると言われている。

同社のシステムでは、遠隔操縦か自動運転により、地上500～1,000フィート（約150～300メートル）の高さに浮かぶ飛行船型の倉庫をコントロールする。そこからオンラインで注文された商品を顧客に直接ドローンで届けることにより、配送をスピードアップし、関係する従業員の数を減らしてコストの低廉化を図るというものだ。オンラインショッピングで商品を届ける際の「最後の1マイル」となる、地元の運送業者の顧客への配送部分のコストも削減できる。...

同社のシステムでは、遠隔操縦か自動運転により、地上500～1,000フィート（約150～300メートル）の高さに浮かぶ飛行船型の倉庫をコントロールする。そこからオンラインで注文された商品を顧客に直接ドローンで届けることにより、配送をスピードアップし、関係する従業員の数を減らしてコストの低廉化を図るというものだ。オンラインショッピングで商品を届ける際の「最後の1マイル」となる、地元の運送業者の顧客への配送部分のコストも削減できる。また従来型の倉庫では、そこから車両で運搬可能な範囲にしか配送はできないが、今回のシステムでは配送地域を柔軟に変えたり、範囲を大きく広げたりすることもできる。

同社とアマゾンはイーコマース分野で激しく競争を繰り広げており、お互いの得意分野への進出を始めている。ウォルマートの今回の戦略もそうした最近の一連の動きに通じるものだ。アマゾンは従来型の実店舗を展開し、自然食品スーパーを運営するホールフーズマーケットの買収を決定した。また最近では商品を注文から2分で受け取ることができる「インスタントピックアップ」のサービスを開始するための物理的な拠点を増やしている。一方のウォルマートも今では、アマゾンが得意としてきたデジタル領域に積極的に進出している。米政府は昨年4月、アマゾンに対し、空中の倉庫とドローンシステムの同様の特許を認めており、両者は間もなく空から事業活動を行うことが可能となる。

ウォルマートは、同社のデジタル技術関連の業務の割合が増えていることから、その分野での特許取得の動きを加速させている。ウェブ開発と買い物の移動負担を軽減する技術に関するものが多いが、最近では、倉庫から店舗内の棚へと迅速に在庫商品を運搬するために、店内にドローンを配置する配送システムの特許などを申請している。