昨年の世界の新車販売台数は8,424万台であった。うち、トップの中国が2,553万台と約30%を占め、以下米国1,755万台(約21%)、欧州連合(EU)1,708万台(約20%)、日本490万台(約6%)と続く。また、燃料別内訳はガソリン車約70%、ディーゼル車約20%であり、新エネルギー車(電気、プラグイン・ハイブリッド、燃料電池車)はまだ僅か3%である。そこで、環境対策を強化する一環で、今年になってフランスと英国が、2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売禁止措置を決定している。販売台数世界一を誇る中国は、新エネルギー車購買者への補助金政策を2020年まで延長することを決めて後押ししているが、中国人ドライバーにとっては、そう簡単にいかない中国ならではの事情がある模様である。
8月15日付
『中国新聞』オンラインニュース:「中国の電気自動車普及への陰」
スウェーデンのボルボは2019年以降、電気自動車(EV)等の新エネルギー車のみの生産に切り替えるとの計画を発表した。フランスと英国が、2040年以降、ガソリン車及びディーゼル車を販売禁止とする決定をしたことが背景にある。
世界一の自動車販売台数を誇る中国においても、絶対数はまだ少ないが、新エネルギー車の販売増が力強い。...
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8月15日付
『中国新聞』オンラインニュース:「中国の電気自動車普及への陰」
スウェーデンのボルボは2019年以降、電気自動車(EV)等の新エネルギー車のみの生産に切り替えるとの計画を発表した。フランスと英国が、2040年以降、ガソリン車及びディーゼル車を販売禁止とする決定をしたことが背景にある。
世界一の自動車販売台数を誇る中国においても、絶対数はまだ少ないが、新エネルギー車の販売増が力強い。2016年のEV及びプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の販売台数は50万7,000台と、前年比+53%増である(編注;全新車中2%弱)。
ただ、中国における新エネルギー車の普及には、次のような追い風・逆風がある。
<追い風>
・新規購入者への補助金政策が2020年まで延長。EVで最大40%(8万人民元、1万2千ドル、130万円)近い還付が期待できる。
・北京などの大都市で採用されている、ガソリン車購入者にとって不利となる“ナンバープレート給付制限”が適用されない。
・北京市内に進入可能なガソリン車は、日によってナンバープレートの末尾(偶数か奇数)で制限されるが、この適用も受けない。
<逆風>
・未だ一度の充電での走行距離に限りがある。
・補助金をもらってもまだ販売価格は高額。
・大都会でも充電設備がまだ少なく、渋滞によって動けなくなるリスク。
・都会の中の充電設備も、有料駐車場内に設置されているため、駐車場代が余計にかかる。
・駐車場内において、ガソリン車の所有者が、充電用に割り当てているEV専用スペースを占拠していることが日常茶飯事。
・田舎には充電設備が全くないため、遠出は不可能。
・PHEV所有者も北京市内では充電に不便さを抱える。EVメーカーが地元電力会社と共同で、PHEV所有者の住居に充電用ポールを無料で設置するサービスを行っている。しかし、同市内のほとんどの車所有者は専用駐車場を持てずに路上駐車しているため、自宅から非常に長い充電コードを使って、当該充電用ポールに接続させる必要がある。
・99%近くを占めるガソリン車(編注;1億9,000万台余り)の所有者が、“ナンバープレート給付制限”や“ナンバーによる市内進入制限”を受けないEVへの優遇制に猛反発しており、当局側としても、EV購入者への補助金制度とともに、優遇制撤廃あるいは制限に動く可能性がある。
従って、EVの販売台数は急増していくとしても、自動車全体における割合が大きく伸びるかはまだ予断を許さない。
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