トランプ大統領は公約で、法人税率を15%まで引き下げるとしていたが、税収不足分をカバーする財源創出が思うようにいかず、ほぼ現実味のない状況となっている。そこでこの程、同政権経済政策顧問が、経済協力開発機構(OECD)税率平均24%を下回る23%以下までの引き下げをして、他先進国に対抗できる体制作りが必要であると表明した。
8月5日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「コーン経済政策顧問、議会に法人税率を23%以下への引き下げのための立法化を望むと表明」
米国家経済会議(NEC、注後記)のゲイリー・コーン議長は8月4日、
『ブルームバーグテレビ』のインタビューに答えて、議会は法人税率について、OECD平均の24%を下回る23%以下への引き下げのための立法化を図るべきだと語った。
同議長は、現行35%の法人税率では、米法人はもとより、海外資本を米国内に留まらせ、事業展開させるには無理がある。...
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8月5日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「コーン経済政策顧問、議会に法人税率を23%以下への引き下げのための立法化を望むと表明」
米国家経済会議(NEC、注後記)のゲイリー・コーン議長は8月4日、
『ブルームバーグテレビ』のインタビューに答えて、議会は法人税率について、OECD平均の24%を下回る23%以下への引き下げのための立法化を図るべきだと語った。
同議長は、現行35%の法人税率では、米法人はもとより、海外資本を米国内に留まらせ、事業展開させるには無理がある。そこで、他先進国の平均より下げて、投資を更に呼び込む等の対抗策が必須であると強調した。
米国は唯一、米企業の世界中の収益に課税できる税方式を採用しているが、当該企業が海外での収益を本国に還流させない限り、所得税を繰り延べ可能となっている。従って、多くのグローバル企業が、法人税の低い国に設けた子会社に資産・収益を移転させるという、米国庫にとって弊害が生じている。
一方、8月4日付カナダ『CBCニュース』(『ロイター通信』配信):「米国、減税財源捻出のため住宅ローン金利減免枠削減を検討」
米政治専門メディア『ポリティコ』は8月4日、トランプ政権が、減税政策実現のため、財源を確保する上で、現在住宅購入に当って適用されている減免措置を見直すことを検討していると報じた。
現在米連邦内国歳入庁(国税庁に相当)は、100万ドル(約1億1,000万円)までの不動産購入ローン金利を費用として所得額から差し引くことを認められている。これについて、NECのコーン議長が、現行35%の法人税を引き下げるための財源作りの一環で、当該減免措置を引き下げることを進言した。
同議長は、米法人税率はOECD平均の24%を下回るレベルまでの引き下げが必要だと主張している。
一方、米上院金融委員会のオリン・ハッチ委員長は、9月の議会再開に合せて、税制法案を準備中だが、法人税率を25%まで引き下げる法案でも大変な挑戦になると述べている。
*他主要国の法人税率:日本23.4%(来年度以降23.2%)、フランス33.3%、ドイツ29.79%、カナダ26.5%、中国25%、韓国24.2%、イタリア24%、英国20%、シンガポール17%
(注)NEC:安全保障・社会保障なども含めた総合的な立場から、経済政策の立案・調整及び大統領に助言を行う連邦政府の行政機関。1993年にクリントン政権において、「軍事的安全保障」と並んで、「経済的安全保障」という考え方の下、国家安全保障会議と同じ機能を果たすことを期待されて大統領令によりホワイトハウスに設立された。
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