【Globali】
米政府、在ベネズエラ大使館職員の家族に出国命令(2017/07/28)
米国務省は27日、政情不安が続き、情勢が緊迫化しているベネズエラの首都カラカスの米大使館職員の家族に対し、30日に予定されている制憲議会選挙前に、国外退避するよう勧告した。職員についても、自発的に大使館から退避することを許し、残る者には行動を慎むよう促している。さらに一般市民に対しても、同国の不安定な社会情勢や暴力的な犯罪、広範な食料や医薬品の不足などを理由に、渡航の自粛を勧告した。
ベネズエラでは、新憲法の制定を目指すニコラス・マドゥロ大統領に抗議する反政府デモが続いている。野党などの反対勢力は、4月以降、20年近くにわたる社会党政権を終わらせるため、自由で公平な選挙を求めて反政府デモ等の活動を実施してきた。これまで治安部隊と衝突するなどして、100名以上の死者を出しており、政情不安ばかりでなく、物不足や物価上昇などの経済不安が続く中、緊迫した情勢が続いている。
マドゥロ大統領は、今年5月に平和実現のために憲法を変えるとして、新憲法を制定する議会を招集することを発表した。...
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ベネズエラでは、新憲法の制定を目指すニコラス・マドゥロ大統領に抗議する反政府デモが続いている。野党などの反対勢力は、4月以降、20年近くにわたる社会党政権を終わらせるため、自由で公平な選挙を求めて反政府デモ等の活動を実施してきた。これまで治安部隊と衝突するなどして、100名以上の死者を出しており、政情不安ばかりでなく、物不足や物価上昇などの経済不安が続く中、緊迫した情勢が続いている。
マドゥロ大統領は、今年5月に平和実現のために憲法を変えるとして、新憲法を制定する議会を招集することを発表した。今月30日に、新憲法制定のためのメンバー545人を選ぶ制憲議会選挙を予定しており、大統領は、制憲議会がベネズエラに平和をもたらす唯一の方法であると繰り返している。野党はこの動きについて、独裁的な反米左派の大統領が、野党が多数を占める国会を無力化して権力の強化を狙ったものであり、国民投票などのプロセスも経ていないとして強く反発し、政府が禁止する全国ストライキを26日から2日間敢行した。
トランプ米大統領は、経済制裁をちらつかせて、制憲議会選挙の中止を一貫して求めてきたが、マドゥロ大統領がこれを拒否したことを受け、米財務省は26日、ベネズエラの現職閣僚や退任した元政府高官、軍幹部ら13人について、米国内における資産凍結などの経済制裁を発表した。ムニューシン財務長官は「制憲議会選挙で選ばれた者は米国の制裁対象になることを理解しなければならない。」とさらなる制裁の発動もあり得るとして警告している。マドゥロ大統領は、カラカスで行った演説で、「制裁は違法かつ無礼だ」として、米国の制裁に猛反発し、緊張が高まっている。
米国以外の他国にも緊迫した情勢の影響が広がっており、コロンビアのアビアンカ航空は26日、60年以上運行している、カラカス発着のボゴタ線等2路線を8月17日から運休すると発表した。カナダ政府は27日、暴力的犯罪の多発、不安定な政情や経済情勢、食料や医薬品の不足等、基本的な生活環境の悪化等を理由に挙げて、ベネズエラへの不急不要な渡航は控えるよう、勧告している。日本にとってベネズエラは重要な貿易相手国であり、原油や鉄鋼、カカオ、アルミニウム等の原材料を輸入し、自動車を含む機械類の輸出を行っている。進出している日系企業は約20社で、400人ほどの在留邦人が暮らしており、政情や経済不安の影響は大きい。
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