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【Globali】
IMFの2017世界経済予測:米英は引き下げ、日本、ユーロ圏、中国を引き上げ。ラガルド専務理事「将来中国に本部移転も」
今回の世界経済見通しでIMFは、米英は引き下げたものの、日本、ユーロ圏、中国の成長予測を引き上げた結果、世界経済の見通しは2017年3.5%、2018年3.6%と、前回4月の見通しを変更しなかった。米国の成長予測について、2017年を2.3%から2.1%に、2018年を2.5%から2.1%に引き下げた。これは2017年第1四半期の弱い経済成長と、今後の米国の財政政策が従来予想より緩やかなものになるとの前提による。...
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今回の世界経済見通しでIMFは、米英は引き下げたものの、日本、ユーロ圏、中国の成長予測を引き上げた結果、世界経済の見通しは2017年3.5%、2018年3.6%と、前回4月の見通しを変更しなかった。米国の成長予測について、2017年を2.3%から2.1%に、2018年を2.5%から2.1%に引き下げた。これは2017年第1四半期の弱い経済成長と、今後の米国の財政政策が従来予想より緩やかなものになるとの前提による。英国についても予想を下回る2017年第1四半期成長を考慮し、2017年の成長予測を2.0%から1.7%に引き下げ、2018年の予測は1.5%に据え置いた。しかし、米英の景気減速は、2017年第1四半期の成長率が大幅に予想を上回る独、仏、伊、スペインなどのユーロ圏諸国の予測の上昇によって相殺されるとIMFは見通した。内需が好調なことから2017年のユーロ圏の成長予測は1.7%から1.9%に、2018年は1.6%から1.7%へと引き上げられている。2017年の日本の成長予測は4月の1.2%から1.3%に引き上げ、2018年の予測は0.6%のまま変更していない。中国については予想を上回る第1四半期の経済成長を考慮して 2017年の成長率を6.7%へ4月から0.1%引き上げ、2018年は0.2%引き上げて6.4%とした。
IMFは世界経済を短期的には広くバランスが取れていると評価する一方、中期的には下方に向かっていると警告している。また米国の政策は矛盾していると指摘し、税制改革などの財政刺激策を実施すると需要と生産高が押し上げられるが、同時に財政予算の削減政策を実施することでこれらが押し下げられるとしている。またトランプ米政権の医療保険や減税等の一連の改革の始まる時期が不透明なため成長予測を変更した。欧州経済は好調な市場と政治的リスクが少ないため、当初の計画よりも経済活動が強くなる可能性がある。また、コモディティ価格の低迷が経済情勢を悪化させるため、コモディティ輸出国に対して懸念を表明した。コモディティ輸出国の経済成長率は金融危機以前の平均値を下回っている。各国の経済政策立案者に対しては、グローバルな協力と自由かつ公正な取引を促進することで中期的な懸念に対処するよう勧告した。
IMFのラガルド専務理事は7月24日、中国やその他新興経済諸国の成長が継続すれば今後10年でIMF本部を中国の北京に置く可能性を示唆した。IMFの規則の細則には、本部は最大の加盟国に置くことが求められている。IMFは1945年に発足して以来、本部はこれまで米国にあり、米国はIMFの決定に際し理事会の投票権の16.5%のシェアを持ち拒否権を有している。しかし経済学者は、成長率が6%を超えると予測される中国は、今後10年間で米国の国内総生産を追い越し、名目上の世界最大の経済大国になると見込んでいる。
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