米ハワイ州の緊急事態管理局(Hawaii Emergency Management Agency)は21日、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したことに対応する方針を策定し、11月から警報サイレンのテストなどの訓練を実施していくことを発表した。米国50州の内、そのような方針を策定し、ミサイルに対する安全対策に本格的に取り組む州は、ハワイが初めてとなる。多くの米国メディアが報じた。
米ハワイ州の緊急事態管理局(Hawaii Emergency Management Agency)は21日、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したことに対応する方針を策定し、11月から警報サイレンのテストなどの訓練を実施していくことを発表した。米国50州の内、そのような方針を策定し、ミサイルに対する安全対策に本格的に取り組む州は、ハワイが初めてとなる。多くの米国メディアが報じた。
ハワイ州では、11月からその災害警告計画(disaster warning plan)に核攻撃があった際の新しい手順が加わり、北朝鮮の核・ミサイル攻撃が起きた場合の「攻撃警戒」システムをテストする最初の州となる。...
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米ハワイ州の緊急事態管理局(Hawaii Emergency Management Agency)は21日、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したことに対応する方針を策定し、11月から警報サイレンのテストなどの訓練を実施していくことを発表した。米国50州の内、そのような方針を策定し、ミサイルに対する安全対策に本格的に取り組む州は、ハワイが初めてとなる。多くの米国メディアが報じた。
ハワイ州では、11月からその災害警告計画(disaster warning plan)に核攻撃があった際の新しい手順が加わり、北朝鮮の核・ミサイル攻撃が起きた場合の「攻撃警戒」システムをテストする最初の州となる。同州では1980年代の東西冷戦時代に旧ソ連の攻撃を想定した計画を策定し、訓練をしたことがあった。
緊急事態管理局が公表した市民向けの対応マニュアル(guidance summary)では、住民はサイレンと白色ライトの光によって、核爆発の警報を受けるという。緊急事態の警告はテレビやラジオでも放送される。米国メディアによれば、11月から毎月サイレンのテスト等の訓練も行われる。
マニュアルによれば、実際の核攻撃の場合には、防護の行動を取れる時間は数分しかないとして、そうしたミサイルの飛来を知らせる警報サイレンが鳴った場合、すぐにコンクリート製の頑丈な建物内に避難する、運転中の場合は車を停車して建物内に避難するか地面に伏せる、上空の閃光は見ないようにする、14日間あるいは安全が確認されるまでは避難場所に留まる、避難場所では地元のAM/FM局のラジオなどで公式の情報を得る、などの行動を取るよう呼びかけている。
北朝鮮のICBMは理論的には、20分以内にハワイに核弾頭を運べる。そのスピードでは、緊急事態管理局のチームが市民に警告を出すために確保できる時間は、8-12分しかない。彼らの計画の最悪シナリオの下では、15キロトンの核兵器がホノルル上空1,000フィート(約300メートル)で爆発することが想定されている。
ハワイ州と北朝鮮間の距離は4,661マイル(約7,460㎞)で、米国領としては、グアム・アラスカの次に北朝鮮に近い。ハワイは米軍にとって重要な前哨基地であり、米軍のアジア太平洋地域の本部である太平洋軍がオアフ島を本拠としており、海軍と空軍が駐留している。北朝鮮が7月4日に発射したICBMは、アラスカやハワイにまで到達する能力があるとの分析もあり、ハワイ州はしっかりとそうした脅威に備えていることを示したものである。
ハワイ州は北朝鮮の攻撃に備える対策を取った最初の州であるが、世界的に見ればそれは唯一の自治体ではない。日本は3月にその北西海沖に着弾した4度の北朝鮮のミサイル発射実験の後、同様の警戒態勢を敷いているとして、米国メディアは日本のJアラートや秋田での訓練などについて報じている。
ハワイ緊急事態管理局のヴァーン・ミヤギ事務官は、州が警告システムのテストや訓練の計画を進めているからといって、住民や観光客は決してパニックになる必要はないと述べた。「これはハワイ州が直面している津波やハリケーン等の危険と同様のものだ。今すぐに起きそうなことではない。」として、核攻撃の脅威は「切迫したものではない。可能性は非常に低い。」と付言した。
今回の計画の発表が、何故ハワイの観光シーズンのピークにされたのかと不思議に思う人もいる。当然ながら旅行業界等からは、観光客が恐怖心を抱き、ハワイへの訪問者が減少するのではないかと懸念する声も聞かれる。しかしながらミヤギ氏は、「核攻撃の可能性は低くとも無視はできず、手を打っておきたい。住民には不必要なストレスを与えたくないが、我々は全ての危険に備えておく責任がある。」と必要性を説明した。
ハワイ州の宿泊観光協会(Hawaii Lodging and Tourism Association)のムヒ・ハネマン会長は、今回の方針は観光客に快適に島を旅行してもらうためのものだと述べた。「我々はハワイを米国で最も安全な訪問地の1つと考えている。もし自分が旅行者であれば、ハワイがきちんと事態に備えていて、引き続き訪問し安全と感じることができれば嬉しい。」と語った。
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