米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は7月12日、下院金融委員会の公聴会で、雇用情勢は堅調なるも、インフレーションはFRBが望むほど達成されていないことを懸念材料として、今年3度目となる利上げについて慎重に対応したいと発言した。これを好感して、市場は活発化し、ニューヨーク・ダウ工業株価指数は過去最高値を記録した。更に、この影響から欧州・アジア株式市場も軒並み上昇している。
7月12日付米
『AP通信』:「イエレン議長、インフレーション弱含みを注視すると発言」
FRBのジャネット・イエレン議長は7月12日の下院金融委員会の公聴会で、上半期の金融政策について説明したが、その際、インフレーションがFRBの期待するレベルに中々到達しないのであれば、今後の利上げには慎重にならざるを得ないと発言した。ただ、年3度とした利上げ方針は守る意向だという。
また、4兆5,000億ドル(約509兆円)に膨らんだ国債については、年後半を目処に徐々に圧縮していきたいとも語った。...
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7月12日付米
『AP通信』:「イエレン議長、インフレーション弱含みを注視すると発言」
FRBのジャネット・イエレン議長は7月12日の下院金融委員会の公聴会で、上半期の金融政策について説明したが、その際、インフレーションがFRBの期待するレベルに中々到達しないのであれば、今後の利上げには慎重にならざるを得ないと発言した。ただ、年3度とした利上げ方針は守る意向だという。
また、4兆5,000億ドル(約509兆円)に膨らんだ国債については、年後半を目処に徐々に圧縮していきたいとも語った。
なお、同議長による、7月12日の下院及び7月13日の上院金融委員会での報告が最後になるとの噂があるが、それはイエレン氏が、ドナルド・トランプ大統領から、もう1期FRB議長職を委嘱された場合、引き受けるかどうか明確にコメントしていないことが背景にある。
ただ、同議長の任期中に表れた好結果、例えば堅調な雇用情勢や個人資産の伸び等から、今後2年程の経済成長を促すことになるとの期待について、同議長も特に注目しているとした。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米FRB、4兆5,000億ドルの国債を2017年中に縮小」
イエレン議長は議会の公聴会で、FRB保有の4兆5,000億ドルに上る国債を、2017年後半には縮小していく方針だと発言した。
FRBの公開市場委員会(FOMC)の3月会合議事録では、多くの委員がFRBの保有資産縮小については“消極的”かつ“予測のつく”範囲で進めるべきだと考えていた。
しかし、今回の同議長発言は、2008年の世界金融危機に遭い、米経済刺激策の一環でFRBが多額の国債を購入(市場に資金注入)してきたが、その保有額が大きくなり過ぎたと特記するものである。
7月13日付中国『新華社通信』:「米FRB議長、利上げは緩やかに、また、保有資産縮小方針は継続すると発言」
イエレン議長は議会公聴会で、FRBが目標とするインフレーション2%到達がどうなるか慎重にみていく必要があるが、当初決めた方針どおり、利上げについては緩やかに、また、保有資産縮小についても実行に移していくと発言した。
同議長はまた、堅調な雇用情勢から個人収入増が期待され、消費も伸びると思われることから、米経済は今後数年、緩やかに成長していくとみると語った。
一方、同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AFP通信』配信):「イエレン議長発言でニューヨーク市場に火が点き、アジア市場にも飛び火」
イエレン議長の利上げ等に関わる発言を好感し、ニューヨーク市場は軒並み上昇し、ニューヨーク・ダウ工業株価は+123.07(+0.6%)上昇の21,532.14と史上最高値を更新した。また、ロンドンFTSE 100銘柄も+1.2%の7,416.93まで上昇している。
この影響からか、アジア市場も活発化し、日経平均は+0.2%の20,128.88、香港ハンセン指標は+1.0%の26,303.06と2015年半ば以来の高値となり、シドニー市場は+0.9%、シンガポール市場は+0.4%、ソウル市場は+1%以上、更に、ウェリントン、台北、マニラ市場も軒並み上昇している。
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