アメリカのレックス・ティラーソン国務長官は、日曜日にキエフにてウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領と対談し、「ロシアは今すぐウクライナに対する強硬的な態度を改め、またウクライナ問題の緊迫状態の改善に向けて協力しなければ、欧米社会はロシアに対する経済制裁を今まで通り続行する。」とロシアに対して半分脅迫とも取れるような強気な発言をした。
つい先日、G20の会議でトランプ大統領がロシアのプーチン大統領と面会したばかりであるのにも関わらず、ティラーソン氏は大胆な発言をしていて、「ロシアは国際社会の監視体制に対する批判的態度を改め、ミンスク合意に沿って軍事的にウクライナ東部から即刻撤退するべきだ。」と直球的に主張。また、ティラーソン氏は「アメリカの第一目標はウクライナ危機の停戦と地域の安全保障の確保、そして、ウクライナの領土の保全と主権の回復である。」と述べている。
ポロシェンコ大統領はトランプ大統領が就任してからロシアとの関係を重視するとのことでアメリカに対して神経質に身構えていたとのことだが、今回のティラーソン国務長官の訪問を大いに歓迎しているという。トランプ大統領がプーチン大統領とG20で対談したばかりなので「今回の訪問は非常にタイミングがよく、国際社会に訴えかけていい方向に影響をあたることができる。」とポロシェンコ大統領はティラーソン氏の訪問を大歓迎し、さらに同氏のウクライナ問題への献身的な態度を称賛している。
また、ポロシェンコ大統領は、ティラーソン国務長官が元北大西洋条約機構(NATO)大使で対ロシア強硬派のカート・ボルカー氏をウクライナ問題の交渉担当に任命したことで、大いに喜びアメリカを大絶賛しているという。ウクライナ危機では実に10,000人もの犠牲者を出したと言われているが、ボルカー氏はミンスク合意が守られているか今後はさらに徹底的に監視するとのことである。ミンスク合意はロシアやウクライナだけでなくフランスやドイツなども協力して2015年に締結されたが、実際はほとんど実施されてない状況で効果を発揮していないという。オバマ大統領はミンスク合意に関しては放任主義でほとんどノータッチであったため、それ以来問題は解決されないまま今に至ると言える。「ミンスク合意が全く進展していないことに私は大変失望している。そのため新しい交渉担当者を任命した。」とティラーソン氏は自身の見解を主張。
また、ポロシェンコ大統領は「ウクライナ危機を起こしたのはロシアであり、我々ウクライナは全く関係がない。責任があるのはロシアであり、問題が解決するかどうかはロシアの意志にかかっている。」と主張している。
しかし、ウクライナも汚職など政治の腐敗問題が進んでいて、それをいかに改革するかが問われていて、ロシア政府は「ウクライナの政治問題が改善すれば自国の自治権を堂々と主張することができる。」とウクライナの政治について批判的に主張している。しかし、ウクライナは「ロシアが残虐行為を止める方が先決だ。」と反論。ウクライナの政治汚職問題に関してはアメリカも常々警告していて、その効果なのかウクライナ政府の努力により汚職は少ずつ減少してきているという。
「ウクライナはここまで長い道のりを頑張ってきた。政治の汚職問題が改善されれば、他国からも投資するのに十分魅力的な国になりえる。ヨーロッパ近隣諸国との関係も改善する。」とティラーソン氏は述べている。
ポロシェンコ大統領は、「アントニオ・グテーレス国連事務総長と対談し、ウクライナ問題の改善に向けて国連に今までにないほどの強固な協力体制を求め、合意を取り付けることができました。」とコメントしている。
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