アメリカカリフォルニア州のサンディエゴに難民として移住してきたアリさん一家だが、父親であるアリさんは「トランプ大統領の難民入国許可プログラムが発動する前にアメリカに来られて本当によかった。私たちはうまくやってのけることができた。本当の幸運だった。」と述べている。
アリ氏は元々ソマリアに住んでいたが、戦争の間只中であり手榴弾により右足が吹き飛んで片足を失った。何とか命からがら亡命し、その後は、家族とともにケニヤの難民キャンプで暮らしていたが、そこでも家に強盗が押し入り左足を撃たれ、いまだに腰が骨折状態で車いす生活を余儀なくされている。
「アメリカに来られたのは本当に夢のようです。いまだに信じられません。」アリ氏は、車いすに座りながらそこに子供たちが寄り掛かっている中、AP通信のインタビューでそのようにコメントしている。...
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アリ氏は元々ソマリアに住んでいたが、戦争の間只中であり手榴弾により右足が吹き飛んで片足を失った。何とか命からがら亡命し、その後は、家族とともにケニヤの難民キャンプで暮らしていたが、そこでも家に強盗が押し入り左足を撃たれ、いまだに腰が骨折状態で車いす生活を余儀なくされている。
「アメリカに来られたのは本当に夢のようです。いまだに信じられません。」アリ氏は、車いすに座りながらそこに子供たちが寄り掛かっている中、AP通信のインタビューでそのようにコメントしている。
アメリカの国務省の発表によれば、7月12日にはトランプ政権が難民受け入れについて一時停止するため、難民は5万人を定員にそれ以上になると、「アメリカに身内など家族がいるか、あるいはアメリカにおいて何らかのビジネスで関係しているか。」という条件を満たしてない限り、難民申請やアメリカに入国することが不可となる。これらの規定が設けられたのは、アメリカの最高裁によりトランプ政権のイスラム国家を中心に入国禁止にする移民政策が一部認められたためである。規定によれば、アメリカにいる家族というのは「子供や親、兄弟、配偶者」などを指す。
アリさんは奥さんと7人もの子供がいる一家の大黒柱であり、子供もまだ2歳から15歳と幼く「あと1週間遅ければアメリカに入国することが難しくなっていた。我々はアメリカに家族もいないし、仕事もない。自分たちは間に合わないのではないかと常に心配していた。あのままケニヤの難民キャンプに住んでいたら悲惨な生活だった。」と心から自分たちの幸運に感謝している。
しかし、今回の難民受け入れの一時中止に関しては反対意見も多く、「今までは多くの難民をアメリカが受け入れてきたことで実に大勢の社会的弱者が救われていた。難民の多くは宗教的な理由やセクシュアリティーの問題などで迫害されていたり、独裁政権や内戦のある国で反政府軍の人たち、あるいは何らかの難病を抱えているものなどが多かった。今後はそのような人たちが救われることがなくなってしまう。」などとトランプ政権の政策について嘆く意見も見られる。
ケニヤのキャンプで強盗が押し入って来たときに、アリさんの奥さんは無理やり強姦され、アリさんは強盗を追い払おうとしたため左足を撃たれた。近隣の住民が助けに来て、強盗の一人を打ち殺して撃退したという。しかし、そのときの後遺症がいまだに残っていてアリさんは車いすの生活を余儀なくされている。「今はアメリカに来られて治療を受けることができます。アメリカは本当に平和で家族と一緒に安心して暮らせます。」と述べている。しかし、アリさんの安心の感情の中には悲しさも見え隠れしていた。「まだ、ケニヤには私たちのようにアメリカに来られない人たちが大勢いることを考えると胸が痛くなります。向こうの生活は本当に悲惨で、いくら働いても最低限の生活すらままならない。」アリさんはそのように述べて現地の人たちへの想いを語った。
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