米国は6日、国連の安全保障理事会の理事国に対して、4日にICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射した北朝鮮に対する重大な措置を求める声明案を配布したが、ロシアがミサイルをICMBとは認めず、反対した。
北朝鮮の実験場から4日に発射された弾道ミサイルについて、ロシアの国連代表部は、同国の国防省がミサイル攻撃警告システムによって記録し、監視を行ったが、システムで得られた飛行データの数値は中距離弾道ミサイルであることを示したという。この結果、安全保障理事会によって発表される非難声明の中に、ICBM発射について言及することには反対の立場を示し、その表現を外すよう要求した。
この結果、声明はまだ発表されていない。発表については、安保理の常任・非常任理事国の15カ国全てが同意する必要がある。ロシアは声明案を妨害するまでの意図はなく、適切に修正するよう米国に提案しただけであるとしているが、米国が合意に向けてさらにロシア側と交渉していくかどうかは、今のところわからない。中国は米国案に同調する意向だと言われている。日米韓の首脳は6日、G20首脳会議に先立ち、ドイツのハンブルクで三者会談を行い、北朝鮮に対する厳しい措置を含む新たな安保理決議の採択に向けて3カ国が協力していくことを確認している。
国連安保理は5日、北朝鮮が4日にICBMを発射した後の問題を論議するため、日米韓3カ国の要求により緊急会合を開催した。米国のニッキー・ヘイリー国連大使は緊急会合で、北朝鮮が急速に軍事力を増大させたことに見合った対応を国際社会に促す制裁決議案を安保理に提示する旨を述べた。ヘイリー大使は「米国は自国および同盟国を防御するため、防衛能力をフルに使用する用意がある。我々が持つ能力の1つは強大な軍事力だ。軍事力を行使しなければならないなら行使するが、そうした方向に進まざるを得なくなることは望まない。」と語った。
これに対し、ロシアのウラジーミル・サフロンコフ国連次席大使は、新たな北朝鮮への制裁に反対し、軍事的な選択肢は「容認できない」と述べた。会合の最後に、サフロンコフ次席大使はヘイリー大使と、北朝鮮が発射したミサイルの種類が何であるかについて、激しくやり取りをしている。ヘイリー大使は、「ICBMと見なす根拠となる情報が必要であれば、喜んで提供する。」と述べていた。
ヘイリー大使は、具体的な追加制裁の内容については述べなかったが、北朝鮮の体制への資金供給の遮断、軍隊や兵器開発計画への石油の供給制限、飛行機や船舶の航行の制限等、可能な選択肢を安保理に提示した。北朝鮮は2006年から国連の制裁を受けている。
今回のICBMの打ち上げは、これまでとは違う次元の脅威を不意に米国に与えた。北朝鮮の金正恩委員長は、発射場に準備し、打ち上げる直前まで、ICBM「火星14」を偵察衛星から隠し続けた。それは4日に37分ほど飛行したが、正確に方向を合わせれば、アラスカにまで到達していた可能性があると米国メディアは報じている。北朝鮮は4日に朝鮮中央通信が特別重大報道でICBM試射の成功を速報し、5日朝その様子を詳細に報じた。金委員長は、「発射は米独立記念日の贈り物。今後も大小の贈り物を送り続ける。」と宣言した。
閉じる