この電話会談は、7月7~8日にドイツのハンブルグで開催されるG20首脳会談に先んじて行われる。議題については明らかにされていないが、北朝鮮問題や鉄鋼の過剰設備対応等の貿易問題について話すものと見られる。6月30日、トランプ米大統領はホワイトハウスで文韓国大統領と会談し、トランプ米政権は北朝鮮に対する米国の忍耐が終わったと宣言した。この発言は、北朝鮮が核・弾道ミサイル計画をなかなか抑制しないことへ、トランプ米大統領がますます不満を募らせていることを示している。またトランプ米大統領は、米大統領選挙運動時に公約として掲げた、国家安全保障上の理由から鉄鋼輸入に関する新たな数量制限や関税の導入を図り、今回のG20で議論する予定だ。
北朝鮮の核・弾道ミサイル問題は、アジアの同盟国である日本、韓国に何千人もの米軍人が駐留している米国に対する重大な脅威と考えられ、またグアムの米軍も北朝鮮のミサイルの脅威にさらされるとしている。フロリダで4月に習近平中国国家主席と会談したトランプ米大統領は、貿易問題で中国と協力したいとするも、北朝鮮の核兵器と弾道ミサイル計画の規模を縮小させるために、貿易面等から圧力をかけるように求めた。しかしトランプ米大統領は、中国の現在の対応に不満を見せている。
6月25日の週、トランプ米政権は、米国務省が台湾との10億ドルの武器取引を承認した一方で、米財務省は6月29日、中国の銀行と中国国民に新たな制裁を課すことで中国の北朝鮮への対応への不満のシグナルを送った。台湾への武器販売は、特に中国政府から強い反応を引き出した。ティアンカイ駐米中国大使は中国の国家メディアである「人民日報」で台湾への武器売却を激しく非難し、米中両国が合意した「一つの中国」政策に反しているとした。
中国国営メディアは、中国は米国に強く抗議しておりさらなる措置を取ると述べた。台湾への武器取引の発表は、香港の英国から中国への復帰20周年を記念して習近平中国国家主席が香港滞在中にあった。香港の英国から中国への復帰20周年に関する声明で米国務省は、米国が香港での市民の自由に対する侵害を心配しているとの声明を発表した。7月1日の香港での演説で、習近平中国国家主席は中国の特別行政区域である香港が中国の主権と安全保障を危険にさらしたり、中国本土に侵攻や破壊活動したりする試みに対して警告している。
7月2日、米海軍のミサイル駆逐艦は南シナ海の中国が主張している島から12マイル以内に「航行の自由」作戦を行い、米中関係をさらに悪化させた。この動きはトランプ米政権下では5月に続き2回目となる。
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