7月1日付Globali「中国による南シナ海人工島の軍事拠点化が本格化」の中で、“中国が、南シナ海に建設した人工島の軍事拠点化を着々と進めている。更に中国は、南シナ海の領有権争いの急先鋒だったフィリピン懐柔に積極的に取り組んでいる”と報じた。これに業を煮やしたか、米国は、トランプ政権発足以来2度目の“航行の自由作戦(FONOPS)”を実行に移したばかりか、イスラム過激派組織イスラミックステート(IS)系過激派グループ制圧のためとは言え、米比両軍合同の監視航行を展開している。一方、フィリピンは、中国による軍事拠点化が進められようと、あくまで中国側と対話による問題解決を追求していくと表明すれば、中国側は、南シナ海のほぼ全域を偵察・監視可能な最新鋭大型哨戒機を同海域にデビューさせている。
7月2日付米Foxニュース』:「国防総省高官、駆逐艦を南シナ海の領有権争いのある海域での監視航行に派遣したと表明」
国防総省高官は7月2日、横須賀基地配備のミサイル駆逐艦“ステザム”を、南シナ海の西沙(パラセル)諸島内のトリトン島(中国名 中建島、1974年より中国が実効支配)周辺海域での監視航行(FONOPS)に向かわせたことを明らかにした。同駆逐艦は、中国軍艦によって追尾されているという。...
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7月2日付米Foxニュース』:「国防総省高官、駆逐艦を南シナ海の領有権争いのある海域での監視航行に派遣したと表明」
国防総省高官は7月2日、横須賀基地配備のミサイル駆逐艦“ステザム”を、南シナ海の西沙(パラセル)諸島内のトリトン島(中国名 中建島、1974年より中国が実効支配)周辺海域での監視航行(FONOPS)に向かわせたことを明らかにした。同駆逐艦は、中国軍艦によって追尾されているという。
トランプ政権下では初めて、5月下旬にミサイル駆逐艦“デューイ”を、中国が南沙(スプラトリー)諸島内に建設した人工島周辺に派遣し、FONOPSを実行させたが、今回は、西沙諸島内ではあるが、米軍として、南シナ海での軍事拠点化を進める中国側を牽制する目的があったとみられる。
なお、オバマ前政権下では、FONOPSが度々実施されており、トリトン島周辺には昨年10月に軍艦が派遣されている。
7月1日付英
『デイリィ・メール・オンライン』(
『AFP通信』配信):「米比両軍、危険海域で合同監視航行」
米比両軍は7月1日、IS系反政府過激派組織アブ・サヤフが出没するスールー海(フィリピン南西)で、米海軍の沿海域戦闘艦“コロナド”とフィリピン軍フリゲート艦“ラモン・アルカラツ”によって合同の監視航行を実施した。
フィリピンの米大使館によると、アブ・サヤフは同海域で漁船・商船の拿捕・誘拐事件を起こし、身代金を要求したり、未払いの場合人質を斬首する等、傍若無人な振る舞いを続けているため、同海域の安寧のため、両軍合同の監視航行を実施することにしたという。この作戦は、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が昨年就任以来、米同盟関係から中国への歩み寄りを強めるとし、また、駐フィリピン米軍の撤退を要求すると発言するという事態にも拘らず、米軍として同盟国支援の方針を示したものと言える。
一方、同日付フィリピン
『マニラ・ブルティン』紙:「フィリピン、あくまで南シナ海領有権問題の平和的解決を望むと再表明」
フィリピン大統領府のアーネスト・アベラ報道官は7月1日、ドゥテルテ大統領は、依然南シナ海の領有権問題について、中国との対話を通じて平和裏に解決する道を望んでいると再確認した。
このコメントは、米シンクタンク“アジア海洋問題透明性監視団(AMTI)”が先週、中国が南シナ海に建設した人工島の更なる軍需拠点化を進めていると報道したことに対するものであったが、但し、同報道官は、AMTI報道内容についての取り扱いについて、フィリピン外務省及び国防省に委任したと付言した。
また、7月2日付香港
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「中国の大型哨戒機、南シナ海全域の監視が可能」
中国は6月26日、翼幅30メーター、飛行距離2,450キロメーターの最新鋭大型哨戒機B-5002を、中国海洋局南シナ海管掌部隊に配備した。同偵察機導入によって、中国は、南シナ海全域の偵察・監視が可能となる。
これまで中国は、Y-12海上偵察機を使用していたが、飛行範囲に限りがあるため、1機当たり1億人民元(1,480万ドル、約16億円)かかるB-5002の導入を決定し、中国が主権範囲と主張する、南シナ海海域の偵察・監視を強化しようとしたものである。
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