米国務省は毎年、世界の人身取引問題に関わる各国評価を行っているが、2017年版において、中国を北朝鮮・シリア並みの最低ランクに落とした。理由は、中国が北朝鮮出稼ぎ労働者5~8万人に強制労働させていること、更に、当該労働者が北朝鮮に送る資金が、核・ミサイル開発に充てられているとみているためである。これに対して中国は、全く根拠のない報告だと一蹴している。
6月27日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「国務省がリリースした人身取引評価報告書で中国が大幅ランク下落」
国務省が6月27日にリリースした世界の人身売買評価報告2017年版によると、中国の評価が第3段階(人身売買問題が認められるにも拘らず、一切不対応)の最低ランクに落とされたという。
同報告をリリースした際の会見で、レックス・ティラーソン長官も、また、そこに同席したイヴァンカ・トランプ大統領顧問も、中国を名指して批判することはなかったが、この報告の元となった“人身取引被害者保護法2000”提案者のクリス・スミス下院議員(ニュージャージー州選出の共和党議員)は、トランプ政権は、中国が性的・労働搾取でひどい扱いをしている国だと公式に評価したと語った。...
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6月27日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「国務省がリリースした人身取引評価報告書で中国が大幅ランク下落」
国務省が6月27日にリリースした世界の人身売買評価報告2017年版によると、中国の評価が第3段階(人身売買問題が認められるにも拘らず、一切不対応)の最低ランクに落とされたという。
同報告をリリースした際の会見で、レックス・ティラーソン長官も、また、そこに同席したイヴァンカ・トランプ大統領顧問も、中国を名指して批判することはなかったが、この報告の元となった“人身取引被害者保護法2000”提案者のクリス・スミス下院議員(ニュージャージー州選出の共和党議員)は、トランプ政権は、中国が性的・労働搾取でひどい扱いをしている国だと公式に評価したと語った。
同議員はまた、これまで12年間のブッシュ・オバマ政権下で、中国の人権問題について問題提起されてきたが、同国はこれを一切無視しており、今回、親中路線を取っているトランプ政権としても、現実的に厳しい評価を下す必要があったとみるとも付言した。
なお、第3段階の最低ランクには22ヵ国がおり、中国の他は、コンゴ民主共和国(旧ザイール)・北朝鮮・ロシア・イラン・スーダンなどである。
同日付スペイン
『エージェンシアEFE』通信:「米国、人身取引問題国として中国を追加」
米国務省作成の世界人身取引報告で、最低ランクと評価された問題国は、中国の他、ベネズエラ・ベリーズ(中米北東部)・ロシア・北朝鮮・イラン・シリアなどである。
今回の報告で中国を最低ランクと評価したのは、新疆(シンチアン)ウィグル自治区の人々が同自治区内外で強制労働を強いられていることと、北朝鮮から送られた労働者を国境付近で同じく強制労働に就かせていると判断されたからである。
ティラーソン長官の同報告リリースの会見に居合わせたイヴァンカ・トランプ大統領顧問は、世界で2,000万人の人々が人身取引の犠牲になっていると言われており、この問題解決が自身の中では最優先課題のひとつであると語った。
6月28日付英
『Yahooニュース英国版』(
『AFP通信』配信):「米国、人身取引問題が最悪のグループに中国を追加」
ティラーソン長官は会見で、同報告において最低ランクに評価された国においては、人身取引を防止や制限する最低限の基準も設けておらず、また、その問題解決の対応も取っていないと非難した。
今回の報告では、中国によるウィグル民族と北朝鮮人をそれぞれ強制労働に就かせている実態が評価された訳だが、中国の人権問題を公に批判するのは、トランプ政権になって初めてのことである。
中国外交部(省に相当)の陸慷(ルー・カン)報道局長は、同報告書がリリースされる前に、米国による無責任な報告書に断固として反対するとした上で、中国はこれからも、人身取引問題根絶のため、他国とも協力して取り組んでいくと表明した。
なお、ティラーソン長官は、直接的には北朝鮮を非難する形で、同国の5~8万人の労働者を、中国やロシアで強制労働に就かせた上、毎年数億ドル(数百億円)に上る報酬を本国に送金させていると断罪した。
一方、これまで、少年兵部隊(18歳未満)を起用している問題国にランク付けされていたミャンマーとイラクが、今回の同報告で外されたことに対して、人権監視団体は“虚偽の評価”だと非難している。
一方、6月27日付中国
『環球時報』:「中国、米国による人身取引報告書は“無責任”と一蹴」
中国外交部の陸報道官は、中国はこれまで、人身取引問題取り締りに厳しく取り組み、成果を上げてきているにも拘らず、米国が根拠のない評価を下していることに断固として反対すると表明した。
米国は毎年、“人身取引被害者保護法”に基づいて、世界各国の人身取引問題を評価してきているが、今回は対象が自国を含めた187ヵ国で17回目の報告となる。
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