米トランプ政権は29日、議会に対し、総額14億2,000万ドルの台湾向け武器売却計画を提案した。台湾への武器の売却は同政権では初めてのことであり、早速中国側から批判が出ている。
米国務省によれば、今回の売却計画には、早期警戒レーダーに関する技術支援、高速対レーダーミサイル、魚雷、ミサイル部品等が含まれる。ヘザー・ナウアート報道官は、売却は米国の「台湾が十分な自衛力を維持するための支援」を示すが、米国が長い間堅持してきた、中国を承認し台湾は承認しないという「1つの中国」政策に変更はないと述べた。
今回の売却の計画は、議会の承認を要するが、トランプ政権では初めての台湾向けの売却となり、オバマ前大統領が2015年12月に発表した18億3,000万ドルの売却以来のものである。...
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米国務省によれば、今回の売却計画には、早期警戒レーダーに関する技術支援、高速対レーダーミサイル、魚雷、ミサイル部品等が含まれる。ヘザー・ナウアート報道官は、売却は米国の「台湾が十分な自衛力を維持するための支援」を示すが、米国が長い間堅持してきた、中国を承認し台湾は承認しないという「1つの中国」政策に変更はないと述べた。
今回の売却の計画は、議会の承認を要するが、トランプ政権では初めての台湾向けの売却となり、オバマ前大統領が2015年12月に発表した18億3,000万ドルの売却以来のものである。オバマ政権の計画には、対戦車ミサイルと水陸両用の攻撃車に加え、2隻のフリゲート艦が含まれており、中国の反発を買っていた。
国務省高官は、今回の売却計画は主に、「長年使用した今のレガシーシステムを、アナログからデジタルに変換することを狙った、現存する自衛力の質の向上」と説明した。
台湾の国防部は30日に声明を発表し、心から感謝するとして、今回の武器購入により空軍、海軍の戦闘能力や早期警戒防衛力が高まるだろうと歓迎し、「我々はできるだけ早く米国と購入、期間、数量などの詳細を協議し、追加予算を用意する。」と述べた。また、地域の長期にわたる安定に貢献するため、台湾と米国は引き続き両国の安全保障に関する協力関係を強化していくとした。
台湾への武器売却に関しては、3月に検討中であることが米当局者らによって明らかにされていたが、トランプ大統領が北朝鮮の核・ミサイル開発計画を抑えるために中国に対する圧力を強めるなどしていたため、協議が止まっていた。
米議会下院の外交委員長である共和党のエド・ロイス議員は、「延び延びになっていた」武器売却を歓迎した。「台湾の必要性に基づいた自衛のための武器の売却は、台湾関係法と6つの保証によって示された、我々のコミットメントの重要条項だ。」と米国の台湾との関係を導く法令や非公式なガイドラインを参照して言った。
米国の上院委員会は28日、米国が「1つの中国政策」を1979年に採用して以来のこととなる、米海軍艦船の台湾への寄港の再開を求めた法案を承認した。その法案はまた米国防総省が台湾を支援して、戦略的な協力関係を築くよう促す内容となっており、中国は猛反発している。中国外務省の報道官は29日、その法案は米中関係の基本原則に反すると述べ、「協力的な中米関係がさらに損なわれるのを避けるために」台湾との共同軍事演習や、同国への武器売却をやめるようよう米国側に求めた。
トランプ大統領は、最近では北朝鮮問題や貿易について中国の動きが不十分であるとして苛立ちを強めており、貿易問題に関して同国に対する何らかの措置を取ることを検討しているとも言われている。29日には、2名の中国人と海運会社が北朝鮮の核とミサイル開発計画を支援しているとして制裁を科し、中国の銀行が北朝鮮のために資金洗浄をしたと非難するなどして、中国に対してさらに圧力をかけた。トランプ大統領は、来週ドイツでのG20サミットの期間中に米中首脳会談を行って、習近平国家主席に会って諸案件を協議するつもりであると、と国家安全保障担当のマクマスター大統領補佐官が記者団に話した。
中国の崔天凱駐米大使は29日、台湾への武器売却と、北朝鮮問題で中国企業等を制裁対象としたことについて、相互の関係を損なうものとして批判している。「そうした全ての行為、中国企業への制裁や、特に台湾への武器売却は、両者の相互信頼を確実に傷つけ、マール・ア・ラーゴ・サミットの精神に反するものだ。」と、4月にフロリダ州で行われた米中首脳会談に触れて、ワシントンの大使館で記者団に対し語った。
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