6月28日の閣議で労働法改正の概要が承認された。今回の労働法改正は4つのポイントがある。1つ目は退職金額と企業が従業員を解雇時に支払う費用や罰金に上限を設けること、2つ目は企業と労働者代表との会議の簡素化、3つ目は誰が賃金交渉の交渉者になるかの決定だ。4つ目は社内の就業規則作成にあたって企業の柔軟性を高めることを提案している。
仏政府は、今夏に労働組合や企業グループと詳細な交渉を政府がすることを議会に求めた。...
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6月28日の閣議で労働法改正の概要が承認された。今回の労働法改正は4つのポイントがある。1つ目は退職金額と企業が従業員を解雇時に支払う費用や罰金に上限を設けること、2つ目は企業と労働者代表との会議の簡素化、3つ目は誰が賃金交渉の交渉者になるかの決定だ。4つ目は社内の就業規則作成にあたって企業の柔軟性を高めることを提案している。
仏政府は、今夏に労働組合や企業グループと詳細な交渉を政府がすることを議会に求めた。政府は今夏の議会で多くの修正等で議会を延長することなく、労働法改正案を迅速に通過させるための特別な手続きを取り、9月までに新しい労働法の骨子を決める予定である。閣議終了後、カスタナー報道官は2022年のマクロン仏大統領の任期終了時にまで現在10%近くある失業率を7%に下げることを目指すために労働改革を行い、様々な措置を講じるとし、またフランスの労働規制はもはや経済の現実を反映していないとしている。
ペニカウド仏労働大臣は6月28日、この法案は修正される可能性があり、政府は労働組合や雇用者団体との合計48の会合で労働改革について議論する予定だとした。更に退職金の上限と下限を設定したいと述べた。また仏労働裁判所は、1年間に150,000件の訴訟が起こされるがその判決は矛盾しているとし、同じ仕事をしても2倍の報酬を受け取ることができる従業員がいるため、雇用主は支払うべき金額について不安を抱いており、公平だとは思わないと述べている。メイヤー仏財務相は労働市場の改革は経済的、社会的な観点から、すべての改革の母だと述べ速やかな実行が必要だとした。
オランド前仏大統領がフランスの労働規制を緩和しようとした際には、数万人の群衆が数ヶ月間抗議の為通りを埋め尽くした。またフランスの直近の3つの政権はすべて労働法を改正しようと試みたが、労働組合の反対のために頓挫した。オランド前仏大統領の経済大臣であったマククロン仏大統領は、解雇制限を緩和し、自社の労働協約で従業員と交渉することができるようにする2016年の労働法の改正のために働いていたが、法案が廃案になった後、マククロン氏は大臣を辞任して政治運動を開始した。
労働組合は、これまでに苦労して獲得した労働者保護の制度が取り除かれることを恐れている。共産党系でフランス第2の労働組合である労働総同盟(CGT)は、労働改革に抗議し9月12日にストライキを呼びかけた。一方フランス最大の労働組合である仏民主労働総同盟(CFDT)は政府と相談の段階にあるとし、9月までに発表される労働法の骨子を見て、どのような措置を講じるかを決めるとしている。
ただ雇用主の力が一方的に強くなるのは反対だとしている。CFDTは、2013年~2016年の労働改革に反対した。仏企業家のロビー団体は企業は、業界全体の労働団体とではなく従業員と個別に労働条件について交渉できるように変えることを推進している。また仏労働法は複雑すぎるため、経営不振になった場合、職員を解雇することが困難なため、多くの企業が雇用することを恐れているとしている。ある多国籍企業の元人事担当取締役は、この労働改革は中道で市場中心主義のマクロン仏大統領を選出することでフランス人が変化の必要性を感じ、明確なシグナルを示した成果だと評価した。
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