米グーグルは18日、動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」でテロに関する動画を検知し、削除する等の対策を強化していくことを発表した。最近世界各地で相次いでテロ事件が発生し、テクノロジー大手会社の運営するサイトをテロリストが活用しているが、これに対する防止策が十分に講じられていないという批判が高まっている。先日、フェイスブックが強化策を発表したが、グーグルの動きはこれに続くものである。
グーグルは18日、「もっと多くのことをする必要がある」と認め、オンラインによる過激主義の流布等に対する戦いを、4つの追加ステップを取ることで強化していく計画をブログに掲載して発表した。同社はブログの中で、「当社の提供するサービスには、テロリストのコンテンツのための場所が存在してはならない。」と強調した。そして「当社や同業者は、もう何年もの間、ポリシーに違反するコンテンツを特定し、削除することに取り組んできているが、我々が業界として、もっとすべきことがあると認めなければならないことは、気持ちの良いことではないが真実だ。それも今すぐに。」と述べている。
続けて同社は、テロリズムのオンライン・サイトの利用と戦うために、実行を計画している4つのステップを公開した。
先ず、過激主義者やテロに関する動画を特定し、削除するためのテクノロジーを強化する。同社では既に、例えば暴力的なビデオが一連のニュースシーンなのか、ISの宣伝ビデオなのかを見極めるような分析システムを導入しており、過去半年に削除したテロ関連のコンテンツの半数以上はこのシステムで検出したものであるという。今後はより多くのエンジニアリングリソースを投入し、最も先進的な機械学習研究を応用した新しい「コンテンツ分類」ツールを開発し、利用していくとしている。
2つ目として、同社はテクノロジーだけでは「特効薬にはならない。」と認識しており、人間の専門家の関与も充実させていく。同社は「YouTube」の”Trusted Flagger Program”の有用性を認識しており、“Trusted Flagger”という専門家からの報告は90%以上が正確であったとしている。このプログラムを拡大し、これに関与する専門家集団を増やして、その知識やノウハウを活用していく。「機械は問題のありそうな動画の特定には役立つが、暴力的な宣伝や宗教なのか、注目すべきスピーチなのか、その境界線にあるニュアンスを汲み取った決定を行う際には、やはり人間の専門家がなおその役割を果たす。」とグーグルはブログに書いている。
3つ目として、扇動的な宗教、あるいは特定の思想や民族至上主義者のコンテンツを含むもののような、グーグルのポリシーに明白に違反はしていないとして見逃されていた動画に対して、より厳しい姿勢で当たるとしている。将来的には、こうした動画の再生時に警告が挿入され、広告の掲載を認めないので収益も上がらず、グーグルが推薦したり、ユーザーに支持やコメントもさせないようにしたりするので、次第にこうした動画は存在感が薄くなって参照されないものとなる。
最後に、グーグルと同じアルファベット社傘下のJigsaw社の「リダイレクト・メソッド」と呼ばれる方式の実装を欧州で拡大する。これはISの兵士勧誘等の広告を、応募を思い止まらせる反テロのコンテンツへと遷移させるものである。既に一部の地域で導入されており、ISへの参加希望者の多くが反テロの動画に誘導されているという。
グーグルは、テロを扇動するようなオンラインの利用と戦うため、フェイスブック、マイクロソフト、ツイッター等の同業者たちと協力していくことを宣言している。「過激主義者とテロリストは、セキュリティだけでなく、我々の価値感自体、すなわち社会をオープンで自由なものにすることに対し、攻撃を加え侵そうとする。彼らを放っておいてはいけない。」とグーグルはブログに結論として書いている。
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