フランスでは11日、国民議会(下院:定数577)の選挙の1回目の投票が行われ、同国メディアはマクロン大統領の新党「共和国前進」が70%を超える議席を獲得する可能性があり、圧倒的に優勢であると報じた。
今回の選挙では577人の定員に対して、7,882人が立候補していた。フランスの国民議会選挙は小選挙区制を採用しており、1回目の投票で過半数を獲得した候補者が当選するが、どの候補者も過半数が取れなかった選挙区は、18日に決選投票を行って当選者を確定する。1回目の投票ですぐに当選する候補者は余りおらず、多くが決選投票で決まるが、それを待たずしてメディアは共和国前進の地滑り的勝利を予測している。
マクロン大統領の共和国前進は、選挙協力している中道政党と合わせて、32.32%の票を獲得し、獲得議席数は400議席以上(415~445議席)と予想されており、第二次世界大戦後の議会では最大の勢力になる。...
全部読む
今回の選挙では577人の定員に対して、7,882人が立候補していた。フランスの国民議会選挙は小選挙区制を採用しており、1回目の投票で過半数を獲得した候補者が当選するが、どの候補者も過半数が取れなかった選挙区は、18日に決選投票を行って当選者を確定する。1回目の投票ですぐに当選する候補者は余りおらず、多くが決選投票で決まるが、それを待たずしてメディアは共和国前進の地滑り的勝利を予測している。
マクロン大統領の共和国前進は、選挙協力している中道政党と合わせて、32.32%の票を獲得し、獲得議席数は400議席以上(415~445議席)と予想されており、第二次世界大戦後の議会では最大の勢力になる。これまでの最大野党であり中道右派の共和党は70~110議席、与党だった中道左派の社会党は20~30議席とそれぞれ大幅に議席を減らし、マクロン大統領と大統領選挙を最後まで争ったルペン党首の極右政党、国民戦線は1桁の人数の小勢力に留まる見込みだ。
最近欧州でテロが頻発していることから、5万人以上の警察官が警備に当たる中、投票は行われた。首都パリでは6日に、40歳のアルジェリア出身の男がノートルダム寺院の外で警察官をハンマーで襲い、銃殺された事件があったばかりである。当初から従来の二大既成政党に対する失望感があり、共和国前進が勝利することが予想されていたせいか、投票率は49%と50%を下回る見通しで、過去最低レベルとなった。
共和国前進のフィリップ首相は、半数の有権者が投票に行かなかったが、「彼らは日曜に
『曖昧ではない』メッセージを送った。多くの有権者は、大統領の改革に向けた方針に期待していることを示した。」と述べ、多数派を獲得することに自信を示した。
社会党は改選前議席が280だったので、歴史的な大敗となる。カンバデリス党首が決選投票に進めず敗れた他、複数のオランド政権時代の閣僚が落選した。同党首は党本部でスピーチし、「前例のない後退」と敗北を認めた。
5月7日に、その清新なイメージで史上最年少の39歳で大統領となったマクロン氏は、左右両派から人材を集めてバランスの取れた組閣を行った。G7首脳会議の場で、地球温暖化対策の国際的枠組みである、パリ協定から離脱しようとしていたトランプ米大統領を説得し、主体的な役割を果たして存在感を示すなど、国民から評価されている。今回の選挙で共和国前進が過半数を大幅に上回る議席を確保することになれば、安定した政権運営が可能となり、公約に掲げたクリーンな政治、経済再生等の改革を実現することができるようになる。
閉じる