米上院情報委員会ウェブサイトに掲載された声明では全体として、トランプ米大統領がコミー前米FBI長官に警戒感を与える両者の緊密で緊張した関係を強調している。コミー前米FBI長官は、オバマ前米大統領とは2度しか話したことが無かったのにトランプ米大統領とは何度も話すことになり、コミー前FBI長官は驚いていた。3月30日トランプ米大統領は電話でコミー前米FBI長官に自分はロシアとは何の関係もなく、FBIのロシア問題調査を中止させるために何ができるか尋ねた。その電話の際、コミー前米FBI長官はトランプ米大統領をFBIが個人的に調査していないと述べた。
コミー前米FBI長官がトランプ米大統領をFBIが個人的に調査していないと述べた機会は3度あった。コミー前米FBI長官はトランプ米大統領が就任してから1週間後の1月27日にコミー前米FBI長官との1対1の夕食会で、トランプ米大統領から以前2度聞かれて自分はFBI長官に留まりたいと答えていたにもかかわらずまたFBI長官に留まりたいかと聞かれ、FBI長官はみんながなりたがっているとトランプ米大統領は述べた。その後自分への忠誠心が必要だと言われたとし、トランプ米大統領が自分に対し一種の後援関係を築きたいのではと懸念したとしている。忠誠心を求める質問にコミー前米FBI長官は自分はトランプ米大統領に対しいつも正直でいますと回答した。
2月14日のテロ対策会議の後、トランプ米大統領はコミー前米FBI長官を除く参加者全員に席をはずさせ、フリン元米国家安全保障問題担当大統領補佐官への調査の中止を求めた。またトランプ米大統領は繰り返し機密情報のリークに対しFBIの監督不十分を指摘し、コミー前米FBI長官はこの対処をすることに同意したと述べた。
ある法律の専門家は、コミー前米FBI長官の書面による声明は、トランプ米大統領がフリン元米国家安全保障問題担当大統領補佐官への調査を中止させるためにできることは何でもやったとして、正義の妨害を行ったことを明らかにするために使用できるとしている。別の専門家はこの声明でトランプ米大統領が正義の妨害を行ったことを明らかにするのは難しいと述べた。それは、トランプ米大統領は彼がフリン元米国家安全保障問題担当大統領補佐官の人柄を保証し、この調査が米大統領の職務遂行にいかに影響するかの懸念を表明しただけであったと言い逃れできるからと述べている。現職の米大統領は刑事訴追に直面することは無いが、正義の妨害は大統領の弾劾につながる犯罪である。大統領の弾劾手続において、米議会は米大統領が犯罪または軽度な犯罪を犯したと判断しなければならない。
トランプ米大統領とロシア問題ついての調査を指揮している共和党のバール米上院情報委員会委員長は、コミー前米FBI長官のこの書面による声明について、政権内の者に忠誠心を求めるのは間違いだとは思わず、自分の読んだ限りでは何も悪いことはないと述べた。
トランプ米大統領のカソビッツ弁護士はトランプ米大統領がロシア問題で調査されていないとをコミー前米FBI長官がこの声明で3回確認したことでトランプ米大統領は完全に正しいと感じていると述べた。
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