先月末既報どおり、フィリピン大統領が常設仲裁裁判所(PCA)裁定に則って南シナ海領海内での石油探査活動を匂わせたところ、中国首脳より戦争になると脅されて、おとなしくなっている。そうした中、ベトナム首脳が訪米の上、貿易のみならず国防面でも米国支援を仰ぎ、米国との連携強化方針を示せば、インドは、中国によるパキスタン・スリランカ連携による包囲網を懸念し、南シナ海問題について、中国よりも米国寄りの対応に出てきている。
5月31日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「トランプ大統領、ベトナムのフック首相訪米を歓迎して両国間貿易協定締結」
トランプ大統領は5月31日、ベトナムのグエン・スアン・フック首相をホワイトハウスに迎えて会談し、両国間の貿易協定の締結と、中国の海洋活動牽制のための沿岸警備艇供与について協議した。
会談後の共同声明によると、ゼネラル・エレクトリック社などの先端技術製品を含めた80億ドル(約8,900億円)余りの貿易協定に合意したという。...
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5月31日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「トランプ大統領、ベトナムのフック首相訪米を歓迎して両国間貿易協定締結」
トランプ大統領は5月31日、ベトナムのグエン・スアン・フック首相をホワイトハウスに迎えて会談し、両国間の貿易協定の締結と、中国の海洋活動牽制のための沿岸警備艇供与について協議した。
会談後の共同声明によると、ゼネラル・エレクトリック社などの先端技術製品を含めた80億ドル(約8,900億円)余りの貿易協定に合意したという。フック首相訪米前、トランプ政権は、米国にとってベトナムとの貿易で320億ドル(約3兆5,500億円)の入超となっていることを懸念していた。
なお、トランプ大統領は、北朝鮮問題解決を優先するために親中国政策に舵を切ったと言われているが、南シナ海において中国の海洋進出に対抗しているベトナムに対して、中古の沿岸警備艇1隻、及び小型の巡視船6隻を供与している。
一方、フック首相は首脳会談において、追加の沿岸警備艇の供与要請と、近い将来に米軍空母をベトナムに寄港させる話につき協議したことを明らかにした。
6月1日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「ベトナム首相、アジアにおける米国の海洋防衛強化方針を歓迎」
訪米中のベトナムのフック首相は5月31日、米国及びその他関係国の、アジアにおける海洋上の安全保障強化政策を歓迎していると表明した。
ベトナムを含めた東南アジア諸国は、中国が昨年7月のPCA裁定を無視して、南シナ海において軍事拠点化に動いていることに懸念を表明していた。
一方、5月30日付英
『ロイター通信英国版』:「インド、中国の反発を恐れて合同軍事訓練に豪州軍を含めず」
インドの海軍及び外交関係者は5月30日、7月に予定されている日米印3ヵ国合同軍事訓練に、豪州軍艦の参加は断り、同高官のオブザーバー参加に留めるよう豪州側に回答したことを明らかにした。
インド側は、中国によるインド洋での活動の活発化-パキスタン・スリランカ・バングラデシュにおける海上設備建設支援、また、2013年以降少なくとも6隻の中国軍潜水艦のインド洋航行等-に懸念を抱いていたが、日米印の合同軍事訓練に豪州軍艦まで含めて大規模化し、結果として中国側を刺激することを恐れたとみられる。
米印両国は1992年、マラバール合同海上演習を開始したが、2014年以降日本の海上自衛隊も毎年参加している。米軍高官は、同演習はインド洋及び太平洋における共同パトロール体制構築に有効としており、最近では、インド洋の他、東・南シナ海周辺でも実施されている。
また、5月31日付インド
『ジ・インディアン・エクスプレス』紙:「インドとスペイン両首脳、南シナ海問題の平和的解決を要望」
ナレンドラ・モディ首相と、訪印中のスペインのマリアーノ・ラホイ首相は5月30日、南シナ海における領有権問題について、国連海洋法条約(UNCLOS)等の国際法に則って、平和的に解決されることが重要だとし、また、同海域における航行の自由原則を確認する旨の声明を出した。
ただ、中国はPCA裁定を無視して南シナ海における海洋活動を活発化させてきており、インドとスペイン両首脳の声明には反発するものとみられる。
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