地球温暖化、海面上昇、干ばつ、凶暴な嵐の原因となると科学者が指摘する化石燃料の燃焼から生ずる二酸化炭素などの温室効果ガスの世界的排出抑制を目指して、パリ協定の下で自主的にすべての国が気候変動対策に取り組んでいるが、この協定は法的に拘束力のある世界的な気候対策の第一歩であった。
パリ協定はあらゆる国が特定の排出数値の削減目標を達成することを強制するものではないところが柔軟な協定である。...
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地球温暖化、海面上昇、干ばつ、凶暴な嵐の原因となると科学者が指摘する化石燃料の燃焼から生ずる二酸化炭素などの温室効果ガスの世界的排出抑制を目指して、パリ協定の下で自主的にすべての国が気候変動対策に取り組んでいるが、この協定は法的に拘束力のある世界的な気候対策の第一歩であった。
パリ協定はあらゆる国が特定の排出数値の削減目標を達成することを強制するものではないところが柔軟な協定である。むしろ、協定に参加する国が排出数値の削減目標に日頃から関心を高めていく過程が重要としている。
パリ協定の最終目標は1800年代後半の工業化以前の気温よりも2度高い水準以下に保つことだ。科学者たちは、地球はすでにその時代よりも約1度ほど高く、今後数十年で更に1.5度高くなるとしている。最近の研究では2度以上上昇すると、サンゴ礁や広大な氷山に至る地球のエコシステムに大きな影響が出ると指摘されている。もし米国が脱退すればシリア、ニカラグアと共に3番目のパリ協定非参加国となる。
トランプ米大統領は5月27日のG7首脳会合でパリ協定の推進について熟考したいとの理由で断った。パリ協定脱退は 米国の同盟国との亀裂を深めるのは必至で、すでにトランプ米大統領を警戒しているヨーロッパの同盟国はさらに遠ざかり、世界のリーダーとしての米国の指導力や信頼性が疑問視されることになると共に、トランプ米大統領の前任者であるオバマ前米大統領の遺産をまた一つ壊すことになる。トランプ米大統領は大統領令を通じて、オバマ米政権での重要な政策であった米環境保護庁の推進した、パリ協定の要となるクリーン・パワー・プランを廃止している。
パリ協定推進のためには大規模な二酸化炭素排出国の協力が必要だが、米国の脱退は大きな影響を与える可能性がある。米国は中国に次ぐ世界第2位の二酸化炭素排出国である。近年石炭から、よりクリーンで安価な天然ガスへの転換により、米国エネルギー情報管理局によれば米国の二酸化炭素炭素排出量は過去30年の最低水準に削減された。
パリ協定で化石燃料の燃焼による二酸化炭素およびその他の排出を削減することによって、地球温暖化を部分的に抑制することを目指している。パリ協定の下で米国は2025年までに二酸化炭素排出量を2005年の水準から26~28%削減することを約束している。2015年時点では排出量は12%減少した。環境団体はパリ協定からの米国の脱退計画を歴史的な間違いとし、地球を化石燃料産業に犠牲にして米国を世界一の気候変動の悪人にすると批判した。この数日間でダウ・ケミカル、エクソンモービル、ユニリーバ、テスラ等、数十の企業の最高経営責任者(CEO)がトランプ米大統領にパリ協定に留まるよう訴えた。
5月31日、米国の石炭会社と再生可能エネルギー会社の株価は共に下落した。株式市場はパリ合意からの米国の脱退が石炭会社の業績に世界的な悪影響を引き起こす可能性があると懸念している。セフコヴィック欧州委員会副委員長は、米国の撤退は残念だが、EUはこの問題について世界的なリーダーシップを発揮するとし、EUと中国は気候とエネルギー政策へのコミットメントとパリ協定実施を再確認する共同宣言に取り組んでいると述べた。パリ協定脱退の決定は、ティラーソン米国務長官のようなパリ協定残留を主張する国際派と対立するトランプ米政権内高官との関係を深く分裂させている。保守派のシンクタンクで影響力を持つヘリテージ財団はパリ協定を条約とみなし、米上院で承認を得るべきだと主張している。
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