今回の会談により、若干39歳のマクロン大統領は、2017年6月に予定されている国民議会(下院)選挙に向け、フランス国民に対して、大国ロシアと十分に渡り合えるとの印象をアピールしたかったものと考えられる。
一方、2017年5月のフランス大統領選挙において、極右国民戦線ルペン氏を応援していたプーチン大統領は、2014年6月以降、ロシアによるクリミア併合により、G7サミットに参加させてもらえなくなったことから、ロシアが世界から孤立していないとの印象をアピールしたかったものと考えられる。...
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今回の会談により、若干39歳のマクロン大統領は、2017年6月に予定されている国民議会(下院)選挙に向け、フランス国民に対して、大国ロシアと十分に渡り合えるとの印象をアピールしたかったものと考えられる。
一方、2017年5月のフランス大統領選挙において、極右国民戦線ルペン氏を応援していたプーチン大統領は、2014年6月以降、ロシアによるクリミア併合により、G7サミットに参加させてもらえなくなったことから、ロシアが世界から孤立していないとの印象をアピールしたかったものと考えられる。
会談後、マクロン大統領は、「フランスとロシアは、テロ対策で協力することで一致した。」と述べた。また、「お互いの意見が一致しない部分についても、率直な意見交換をした」とも述べた。
また、シリア問題では、マクロン大統領は、シリアのアサド政権を打倒することにこだわらず、対話による解決を提案して、歩み寄りを見せたものの、化学兵器使用については、即座に断固とした措置を取るとの考えを表明した。
しかし、フランス大統領選挙期間中、マクロン陣営のEメールが流出するなど、サイバー攻撃が繰り返されたり、マクロン大統領に不利な偽ニュースが流れたりした。
これに対して、マクロン大統領は、根拠に基づかない報道をしたとされるロシア政府系メディアである「ロシアトゥディ」や「スプートニク」を名指しして非難した。
一方、プーチン大統領は、サイバー攻撃で介入した疑惑について、「ロシアが実行した根拠はない。」と関与を否定した。
また、ロシアがクリミアを併合し、ウクライナ東部での親ロシア派による紛争により、ロシアに課されている制裁について、「欧米の制裁は、ウクライナ情勢の安定につながらない」として、制裁解除を呼びかけた。
結局、昼食を交えた1時間30分の会談は、マクロン大統領の前向きな姿勢により、ロシアとの関係改善を演出しようとしたものの、互いの意見をぶつけ合うだけの会談に終わったものと考えられる。
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