ケリー米国土安全保障長官は28日、FOXニュース・サンデーのインタビューで、テロ対策の一環として、米国を発着する全ての国際線で、爆発物がしかけられる可能性のあるノート型パソコン等の客室内持ち込みを禁止する可能性があると述べた。実際に禁止されれば日本の航空会社にも影響が出る恐れがある。米国への出張者は多く、ビジネス客から利便性を損なうとして苦情が出ることも予想される。
トランプ政権は3月に、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア、エジプト、カタール、トルコなど中東と北アフリカの8か国にある10空港から米国に向かう、海外航空会社の直行便のフライトを対象に、ノート型パソコンなどの携帯電話より大きなサイズの電子機器の機内持ち込みを禁止し、預け入れ荷物に入れるよう乗客に求めている。今月上旬には禁止項目の拡大を検討していると表明していた。
国際航空運送協会(IATA)によれば、米国の空港を発着する国際線は、毎日約4,300便あって、56万人もの乗客を運んでおり、これは年間では2億人にもなる。...
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トランプ政権は3月に、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア、エジプト、カタール、トルコなど中東と北アフリカの8か国にある10空港から米国に向かう、海外航空会社の直行便のフライトを対象に、ノート型パソコンなどの携帯電話より大きなサイズの電子機器の機内持ち込みを禁止し、預け入れ荷物に入れるよう乗客に求めている。今月上旬には禁止項目の拡大を検討していると表明していた。
国際航空運送協会(IATA)によれば、米国の空港を発着する国際線は、毎日約4,300便あって、56万人もの乗客を運んでおり、これは年間では2億人にもなる。米国のみならず世界の航空業界、旅行業界への影響は必至だ。米国では、海外からの訪問者は昨年、2,460億ドルもの金を米国内で消費しており、米国の旅行業界で働く860万人等がその恩恵を受けている。もし彼らがノート型パソコン等の機内持ち込み禁止の不便さを嫌い、他の目的地へ流れるとすると、影響は測り知れない。
現在の禁止措置の対象である、中東と北アフリカの8か国、10空港から米国に向かうフライトは50便ほどだが、UAEのエミレーツ航空などでは既に影響が出ており、米国便の需要が落ち込んで、先月数便の運航を取りやめた。今月初めに、米国が禁止措置を欧州路線に拡大しようとしているとの情報が明らかになった際、IATAはトランプ政権に対し、代替措置を検討するよう要求している。
ケリー長官は、テロリストは飛行中の航空機、とりわけ米国人を多く乗せた米国の航空機を標的とすることに取りつかれているとして、航空機に対する現実的な脅威があると強調し、全体的な空の安全対策の水準を現在よりもはるかに高くすると語ったが、具体的な実施時期などについては明確にしなかった。
米国のメディアは最近、テロ組織がパソコンなどを活用して、爆発物を仕掛ける新たな技術を開発したと報じている。米ユナイテッド航空のオスカー・ムニョス最高経営責任者は、「どんな結論にも、航空会社は従わなければならない。」と述べ、そうしたテロ組織の動きに対応する政府の方針に従う姿勢を示した。ただビジネス客らの利便性が損なわれるため、実施された場合には苦情対応の増加への懸念も出ており、預けた手荷物に入ったパソコンの電池が貨物室内で発火する事故が発生する可能性が高まる、と安全性に対する不安を語る声もある。
ケリー長官は現実的な脅威があると述べたものの、10月1日以降のトランプ政権の予算案では空の安全対策への費用を大幅に削減するとしている。どのような結論となるかが注目される。
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