<高齢ドライバー>
高速道路の逆走、車による徘徊、アクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走等々、高齢ドライバーによる交通事故のニュースが引きも切らない。
今年3月12日、改正道路交通法が施行され、加齢による認知機能の低下に着目した臨時認知機能検査制度や臨時高齢者講習制度などが導入されている。
一方、自動車の技術開発の面でも、自動運転や自動ブレーキ装置の技術の推進がスピードアップされている。...
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<高齢ドライバー>
高速道路の逆走、車による徘徊、アクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走等々、高齢ドライバーによる交通事故のニュースが引きも切らない。
今年3月12日、改正道路交通法が施行され、加齢による認知機能の低下に着目した臨時認知機能検査制度や臨時高齢者講習制度などが導入されている。
一方、自動車の技術開発の面でも、自動運転や自動ブレーキ装置の技術の推進がスピードアップされている。
ただ、ここで注意をしておきたいことは、2015年までの交通事故分析データ(警察庁交通局)であるが、若年層の交通事故件数の方が、高齢者のそれより2倍も多いこと、また、この10年間での交通事故件数減少率も若年層の方が低いこと、一方、免許保有者の割合は(少子高齢化の影響もあって)若年層の方が高齢者の3分の1程度であるということである。
<2015年> <2005年> <減少率>
・発生件数 536,899件 934,346件 ▼42.5%
・10万人当りの事故件数
(16~24歳)1,271.3件 2,066.7件 ▼38.5%
(65歳以上) 588.0件 1,009.4件 ▼41.7%
・免許保有者
(16~24歳) 573万人(全体の7%)
(65歳以上) 1,710万人(同 21%)
すなわち、悲惨な交通事故を更に減少させるために重要なことは、高齢ドライバー対策もさることながら、スピード違反・飲酒運転等法令違反行為を根絶するための厳罰化、あるいは日々の運動・講習の充実などが必須と言えよう。
なお、海外の状況をみてみると、高齢ドライバー対策は日本よりも必須で、日本における5年毎の免許更新制度(運転講習必修)、及び75歳以上の高齢ドライバーの場合の3年毎の認知機能検査制度は、非常に優れていると思われる。
●米国:当局の統計によると、2015年で高齢ドライバーによる交通事故被害者は1,400万人にも上る。免許更新制度は州法によるためまちまちで、ニューヨーク州の有効期間8年含めて、総じて免許有効期間が長め。ただ、ここへきて漸く高齢ドライバーの免許更新制度見直しを検討中。
●英国:欧州連合(EU)基準で、免許有効期間は15年間。但し、高齢ドライバーの事故多発によって、70歳以上のドライバーに、運転に影響する病気(認知症、ガン、摂食障害、感染症等)の申告を義務付け。
●ドイツ:従来、免許更新制度がなく、一度取得したら生涯有効だったが、高齢ドライバーの事故多発を受けて、2013年以降EU基準に合せて15年毎に更新する制度を採用。
●中国:60歳以上のドライバーは毎年身体検査を受ける義務。70歳以上は免許取り消し。
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