<ポケモンGO裁判>
車の運転中にポケモンGOゲームに興じていて、交通事故を起こす例が後を絶たない。昨年7月に日本に同ゲームが上陸して以来、ポケモンGOゲームが原因と特定された事故件数は30件以上で、犠牲者は5人にも上る。
昨年7月28日付
当コラムNo.59「ポケモンGO等社会現象への警鐘」の中で、“米国のみならず、僅か1週間前に発売となった日本においても、同ゲームをしながらの車や自転車の運転によって、不幸な事故が多発している。...
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<ポケモンGO裁判>
車の運転中にポケモンGOゲームに興じていて、交通事故を起こす例が後を絶たない。昨年7月に日本に同ゲームが上陸して以来、ポケモンGOゲームが原因と特定された事故件数は30件以上で、犠牲者は5人にも上る。
昨年7月28日付
当コラムNo.59「ポケモンGO等社会現象への警鐘」の中で、“米国のみならず、僅か1週間前に発売となった日本においても、同ゲームをしながらの車や自転車の運転によって、不幸な事故が多発している。歩きスマホの自粛がずいぶん叫ばれているが、同ゲームの普及で、この悪習が更にひどくなっていると言わざるを得ない”と述べた。
そして、昨年から今年にかけて、同ゲームが原因で不注意運転となって死亡事故を起こした被告の裁判結果が出ているが、飲酒運転の判決と同程度、あるいはそれより軽微な禁固刑の判決となっている。
1人目 昨年10月の徳島地裁判決:昨年8月、ポケモンGOをしながら運転し、女性2人を死傷させる。過失運転致死傷罪で“懲役1年2ヵ月”。
2人目 今年1月の京都地裁判決:昨年9月、大型クレーン運転手が赤信号停車中にポケモンGOを行い、青信号発進時に、クレーン車の前に信号停止していたミニバイクの女性をはねて死亡させる。走行中ではなかったためか、過失運転致死罪による“懲役1年6ヵ月、執行猶予5年”。
3人目 2月の福島地裁判決:昨年11月、ポケモンGOをしながら運転中、婚約者の前で男性会社員をはねて死亡させた上に逃亡。過失運転致死及びひき逃げの罪によって“懲役3年6ヵ月”。
4人目 3月の名古屋地裁判決:昨年10月、ポケモンGOゲームに興じてトラックを運転中に、小4男児をはねて死亡させる。過失運転致死罪によって“懲役3年”。
5人目 5月の名古屋地裁判決:昨年8月、ポケモンGOを起動しながら運転して、女性をはねて死亡させる。過失運転致死罪で“懲役2年6ヵ月”。
なお筆者は、海外のポケモンGOが原因の自動車事故のニュースは把握していないが、北米では、同ゲーム販売元に対して損害賠償の訴えを起こしたり、ロシアでは、宗教を冒涜したとして同ゲーム使用者を禁固刑に処したりという事件となっている。お国柄が表れていると言えよう。
●米国 ニュージャージー州在住の男性:自宅敷地内に、ポケモンGOゲームに興じる人達が何人も無断で侵入してきたため、同ゲーム製作者・販売元のニアンティック社及び共同開発者の任天堂、株式会社ポケモンを相手取って、“ポケモンGOゲーム・ユーザーが、個人の敷地に不法侵入するのを防ぐための対応を事前に取らなかったこと”を理由に損害賠償請求を提起。
●カナダ オンタリオ州の女性:自宅が勝手にポケモンGOのジムに設定されたため、最大で100人余りのゲーム・ユーザーが敷地内に勝手に侵入。ニアンティック社に対して“プライバシーの侵害を惹起させたこと”を理由に損害賠償請求を提起。
●ロシア ロシア正教の教会内でポケモンGOゲーム等を行ったユーザーを拘束。裁判所は、“教会に訪れる人達の宗教心を乱し、また、宗教をも冒涜した”ことを理由に“執行猶予付きの懲役3年6ヵ月”の判決。
●フィリピン セブ島の裁判所が、裁判所内でポケモンGOゲームを行った場合、罰金、あるいは懲役刑を科す裁判にかける、との通告文掲載。
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