トランプ米大統領は、25日、ベルギーのブリュッセルで行われたNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議に就任後初めて出席し、加盟国が防衛費を公平に負担していないとして激しく非難する異例の演説を行った。各国に改めて防衛費負担の増額を求め、テロを阻止しなければ、マンチェスターで発生した爆破事件のような攻撃がさらに起きると警告した。
トランプ大統領は、NATOの新本部庁舎で行われた、2001年の米同時多発テロを記念するツインタワーの残骸を展示した作品の公開式典で演説した。西側諸国の団結を見せようとしたNATO側の演出の努力とは対照的に、加盟国の負担金は、本来自発的なものではあるが、不足分は多額に上るといきなり批判した。
また、英マンチェスターで今週月曜に発生した、子供を含む22人が死亡した自爆テロに触れて、「テロリズム打倒と永続的な安全保障や繁栄、平和実現への決意は揺るがない」とし、「テロは阻止しないといけない。...
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トランプ大統領は、NATOの新本部庁舎で行われた、2001年の米同時多発テロを記念するツインタワーの残骸を展示した作品の公開式典で演説した。西側諸国の団結を見せようとしたNATO側の演出の努力とは対照的に、加盟国の負担金は、本来自発的なものではあるが、不足分は多額に上るといきなり批判した。
また、英マンチェスターで今週月曜に発生した、子供を含む22人が死亡した自爆テロに触れて、「テロリズム打倒と永続的な安全保障や繁栄、平和実現への決意は揺るがない」とし、「テロは阻止しないといけない。そうしないとマンチェスターそして多くの他の都市で見た恐怖は永遠に続くだろう。」と述べ、テロや移民政策に対して、より強硬な姿勢を取るよう求めた。
大統領は過去にNATOを「時代遅れ」と批判していたため、NATO諸国は、一加盟国への攻撃はNATO全体に対する攻撃であるとして集団的自衛権を保障した、NATO条約第5条の保持に対するコミットメントをトランプ大統領から得ることを期待していたが、大統領はこれに関しては明言せず、「加盟国28か国の内、23か国は未だに求められている防衛費を負担していない。」と指摘し、「米国の国民や納税者にとり不公平だ。これらの国々の多くが過去何年にもわたり多額の借金を負っている。」と激しい非難を浴びせた。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、大統領は遠慮なく発言したが、NATOへの自らの期待について、平易で明確なメッセージを打ち出したと擁護した。しかしある上級外交官は、「時と場所が適切でなく、発言は全く受け入れられなかった。我々は平静を装おうとしていた。」と述べた。
昨年、トランプ大統領は、もし十分な防衛費を出さなければ欧州の同盟国を見捨てると脅したが、特にロシアと国境を接する旧ソ連のバルト海沿岸諸国にとっては刺激的なコメントだった。彼らはロシアが再び2014年のクリミア併合のようなことをするのではないかと懸念している。トランプ大統領は、それ以来西側首脳との会談や電話会議の場ではトーンダウンしたものの、今回の激しい言葉はその時を彷彿させた。ドイツのメルケル首相と以前会談した際にも防衛費の増額を求めている。
ある米国の元ベテラン外交官は、「トルーマン以降の全ての大統領は、NATO条約の第5条を遵守し、米国が欧州を防衛すると誓った。」と言った。ホワイトハウスのスパイサー報道官は、大統領は集団的自衛に100%コミットしていると述べた。
NATO加盟国は国防費をGDPの2%に増額することを求められているが、トランプ大統領は、「GDPの2%だって不十分だ。極めて現実的な脅威に直面している今日の状況で、2%は必要最低限だ。」と圧力をかけた。
トランプ大統領はまた、今回の首脳会議でもう一つ圧力をかけた。写真撮影で来月NATOに加盟するモンテネグロのマルコヴィッチ首相を、文字通り圧力をかけて押しのけ、最前列に出た。スパイサー報道官はまだビデオを見ていないが、米国大統領の指定された位置に行ったのだろうと述べた。首脳会議でふさわしくない無作法なふるまいとして、各国メディアが取り上げている。
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