トランプ大統領が外遊中の最中でも、米本国ではロシア疑獄によって娘婿まで捜査対象に上げられる始末で、主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)にも集中できないのではないかとみられる。そうした中、またしてもトランプ政権に司法からの逆風が吹いてきた。すなわち、一度は司法の壁に立ちはだかれた“イスラム教徒入国禁止に関わる大統領令”について、トランプ大統領は3月にも一部修正を加えて新たな大統領令を発令していたが、再び連邦控訴裁判所が、連邦地裁が出していた同大統領令の全米での執行停止命令を支持する決定を下した。これ以上は引き下がれないトランプ政権は、連邦最高裁まで争う方針を示している。
5月25日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「トランプ大統領の入国禁止令、バージニア州連邦控訴審が執行停止を命令」
中東・アフリカ6ヵ国の国民の米国入国を一時禁止する、トランプ大統領発令の大統領令について、バージニア州連邦控訴裁判所は5月25日、全米での執行停止を命じたメリーランド州連邦地裁の決定を支持する判断を下した。15人の裁判官のうち、支持10人、不支持3人、留保2人という結果だった。...
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5月25日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「トランプ大統領の入国禁止令、バージニア州連邦控訴審が執行停止を命令」
中東・アフリカ6ヵ国の国民の米国入国を一時禁止する、トランプ大統領発令の大統領令について、バージニア州連邦控訴裁判所は5月25日、全米での執行停止を命じたメリーランド州連邦地裁の決定を支持する判断を下した。15人の裁判官のうち、支持10人、不支持3人、留保2人という結果だった。
同連邦控訴審のロジャー・グレゴリー裁判長は、議会は大統領の権限が広範囲に亘ると判断したかも知れないが、同大統領令が個人に取り返しのつかないような損害を与える可能性がある場合、その権限の行使については他機関の確認を要する、と表明した。
トランプ大統領は1月27日、中東・アフリカ7ヵ国を対象として一時入国禁止措置令を発令したが、サンフランシスコ連邦控訴審によって退けられたため、3月6日に新たに、イラクを除いた6ヵ国対象の一時入国禁止令を発令していた。
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「米連邦控訴審に拒否され、トランプ大統領の入国禁止令発効には連邦最高裁の判断を仰ぐ他なし」
再び米連邦控訴審から大統領令の執行停止命令を受けて、トランプ政権としては、連邦最高裁までいって争うしか道が残されなくなった。
なお、当該大統領令を支持する法律専門家は、トランプ大統領が選挙戦中に述べていたイスラム教徒排斥との言葉だけを捉えて、一時入国禁止措置令をイスラム教徒への差別規定だと決めつけるべきではないと主張している。
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「米連邦控訴審がトランプ大統領の入国禁止令の執行停止命令を支持」
今回米国バージニア州連邦控訴審から執行停止命令を受けた一時入国禁止令は、1月に発令した最初の入国禁止令を一部変更し、イラクを除いたイラン・リビア・ソマリア・スーダン・シリア・イエメンの6ヵ国を対象としていた。
なお、サンフランシスコ連邦控訴審の決定で一時差し止められた最初の入国禁止令について、5月15日に双方の聴聞が持たれているが、まだその結論は出されていない。
5月26日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米国のセッションズ司法長官、トランプ大統領の入国禁止令について連邦最高裁まで争うと表明」
米国司法省のジェフ・セッションズ長官は5月25日、バージニア州控訴審から下された一時入国禁止令の執行停止命令について、連邦最高裁まで争う覚悟である旨表明した。
同長官は、連邦控訴審の決定は国家安全保障を危うくするもので全く同意できず、司法省としてはあくまで米国民の安全を守るとの使命の下、当該一時入国禁止令は有効であるとの判断を求めていくと語った。
更に同長官は、トランプ大統領がテロの脅威から米国民を守るために憲法上の権限を行使するのは明白なことだとも強調した。
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