トランプ大統領は、初めてのNATO首脳会議への出席となったが、冒頭から、NATO加盟各国に対し、「加盟国28ヵ国のうち、23ヵ国がいまだにしかるべき防衛費を負担していない。米国の納税者にとって不公平である。」と述べ、加盟各国に国防費の増額を強く要求した。
しかし、トランプ大統領は、NATO加盟各国が期待していた集団的自衛権を保障したNATO条約の第5条の保持に対する確約には改めて言及しなかった。...
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トランプ大統領は、初めてのNATO首脳会議への出席となったが、冒頭から、NATO加盟各国に対し、「加盟国28ヵ国のうち、23ヵ国がいまだにしかるべき防衛費を負担していない。米国の納税者にとって不公平である。」と述べ、加盟各国に国防費の増額を強く要求した。
しかし、トランプ大統領は、NATO加盟各国が期待していた集団的自衛権を保障したNATO条約の第5条の保持に対する確約には改めて言及しなかった。
現状、米国の国防費は対GDP比3.6%と突出しており、米国を含めた英国、ギリシャ、ポーランド、エストニアの5ヵ国のみが、国防費の目標水準であるGDP比2%を満たしているにすぎない。
これに対し、メルケル独首相は、「NATOへの貢献は、金額の多寡ではなく、NATOへの取組姿勢である。」と反論した。
一方、英マンチェスターでのテロ事件を受け、過激派組織イスラム国掃討での有志連合にNATOとして参加することで合意し、早期警戒管制機の提供を増強するほか、空中給油等で協力していくことを確認した。
また、テロ組織や戦闘員に関する情報の共有を強化することで一致した。
さらに、ロシアとの軍事的緊張の高まりを背景に、国防費の共通目標達成に向け、工程表作成と進捗を点検する仕組みを導入することを確認した。
しかし、今回の会議は、費用負担が主要議題となり、米国は、NATOへの関与について明確な言及をせず、ロシアに対する姿勢に対しても強いメッセージを発しないまま、期待はずれに終わったものと考えられる。
ただし、現状は、米国が、NATOの拠出金の72%を負担していることも事実であり、今後、NATOのあり方を考え直すべきであると考えられる。
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