当初は、5月26日までの5日間モスクワに滞在する予定であったが、フィリピン南部のミンダナオ島でのテロ事件発生により急遽、予定を早め帰国した。
訪問の目的は、ロシアとの軍事協力の強化にあったものと考えられる。
ドゥテルテ比大統領は、「イスラム国と戦うために、フィリピンは、ロシア製の近代化された兵器が必要だ。これまでは、米国製の武器を調達してきたが、今や状況はそう簡単ではない」と述べた。...
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当初は、5月26日までの5日間モスクワに滞在する予定であったが、フィリピン南部のミンダナオ島でのテロ事件発生により急遽、予定を早め帰国した。
訪問の目的は、ロシアとの軍事協力の強化にあったものと考えられる。
ドゥテルテ比大統領は、「イスラム国と戦うために、フィリピンは、ロシア製の近代化された兵器が必要だ。これまでは、米国製の武器を調達してきたが、今や状況はそう簡単ではない」と述べた。
こうした発言の背景には、オバマ前政権が、ドゥテルテ比大統領による強硬な麻薬撲滅政策を、人権上の問題から強く非難し、米国がフィリピン軍に自動小銃を売却しなかった経緯がある。
今回、ドゥテルテ比大統領は「フィリピン南部での小規模なテロ集団との戦闘において、有効な武器の購入を希望している。偵察用機器や小型の武器、ヘリコプターが必要である」と語った。
また、外国との軍事協力については、「フィリピンが信頼しているのは、中国とロシアだけだ。」とも付け加えた。
2017年1月、ロシアは、フィリピンに戦艦2隻を移送し、初の海上合同軍事演習を行なうと発表した。
その時、ロシア海軍太平洋副長官は、「南シナ海など当該海域の安全確保は、ロシアなど全ての国にとっての懸念事項である。ロシアと中国は、フィリピン軍を支援するため、軍事能力の増強と軍需品を供与する」と述べていた。
ロシアは、南シナ海におけるプレゼンスの強化を狙っているものと考えられる。
一方、他の東南アジア諸国でも、今年、ベトナムは、ロシアから6隻の潜水艦を購入し、タイは、中国から3隻の潜水艦を購入する契約を結んでいる。
中国も、ロシアからロシア製の最新鋭地対空ミサイルシステムを2020年までに供与してもらう予定である。
以上から、南シナ海において、米国のプレゼンスが徐々に弱まってきているものと考えられる。
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