24日、台北の憲法裁判所に当たる司法院大法官会議は、同性婚を認めていない現行民法は違憲であるとの判断を示し、2年以内の法改正か関連法の制定を求めた。合法化されることになれば、アジア初の同性婚容認となる。
今回の判断は、2013年に同性のパートナーと結婚しようとした男性が、台北で婚姻届を提出したが受理されず、大法官会議に憲法解釈を求めたものである。大法官会議は、結婚を男女間に限り同性婚を認めない現行民法の規定は、婚姻の自由や法の下の平等を定めた憲法に違反するという解釈を示した。また、法改正が2年以内にできなくとも証人がいれば、同性のカップルの結婚届は受理され得るとした上で、同性婚を認めても、異性婚が築いた社会秩序は変化せず、今回の判断は社会の安定に寄与し、人間の尊厳を保障するとした。
司法院大法官会議は台湾の憲法裁判所にあたり、総統が推挙し、立法院(国会)が承認した大法官15人で構成される。決定には3分の2以上の同意が必要で、今回は1人が棄権し、14人の内、2人が反対意見を唱えた。
台湾総統府の呉秘書長(日本の官房長官に相当)は大法官会議の判断を受けて、内閣に新たな法案の提出を要請するとともに、国内の意見を集約して期限内に法改正を目指すことを表明した。今後合法化に向けて議論が活発化すると思われるが、民法そのものの改正は家庭制度を崩壊させるとする保守派等の声も根強く、特別法で対応する可能性もある。
台湾ではここ数年、同性愛者などの性的少数者(LGBT)への理解が進んでおり、大規模なゲイパレードや、LGBTの権利保護を求める数万人規模のデモが行われる一方、同性婚に反対するデモも頻発している。
昨年5月に民進党政権が発足し、蔡英文総統は同性婚の法制化を目指していた。台湾の立法院(国会)が合法化に向けて審議を続けていたが、宗教団体などから強い反対があり、また野党国民党が主導する抗議デモが繰り返されて対立が激化していた。
国会周辺では、小雨が降る中、同性婚を支持する多くの人々が集合し、決定に歓喜した。今回同性婚を求めた男性の弁護士は、「同性カップルも、結婚に関しては異性カップルと同様の権利を得た。結婚に関する平等な権利を勝ち取ったものだが、全ての市民にとっての勝利でもある。」と決定を評価した。
台湾では、昨年10月にフランス人の大学教授が、35年間連れ添った台湾人のパートナーと同性婚をしようとしたが果たせず、自殺を図ったとされている。彼の死が同国のLGBT活動家の運動にさらなる火をつけた。
但し、このようにLGBTへの理解が進んだ台湾とは異なり、アジア地域全体を見ると、一般的に保守的な考え方を取っている国が多い。韓国ではLGBTの軍隊関係者が厳しい措置を受け、最近インドネシアやバングラデッシュでもLGBTの人々が罰せられ、拘束されるなどしている。
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