大統領就任後初めてトランプ大統領は、2018会計年度(2017年10月~2018年9月)の連邦政府予算案(注後記)を議会に提出するが、国防費・インフラ投資等を増やす一方、低所得者向け支援を大幅に削減する提案となっている。弱者切り捨ての内容に野党・民主党はもとより、選挙でトランプ氏を支持した白人低所得者層を代弁する与党・共和党からも反発が予想され、大統領要求予算が大幅に見直される可能性が高い。なお、韓国は太平洋地域での米軍事費増を歓迎する一方、何かと米国を敵視する中国は、トランプ氏の税制改革の矛盾点について批評している。
5月22日付米
『USAトゥデイ』紙:「議会、物議を醸すトランプ政権予算案の承認は困難」
ドナルド・トランプ大統領は5月23日、就任後初の年間連邦予算案(2018会計年度)を議会あてに提出するが、上・下院ですんなり審議・承認手続きが進むことは難しい。
例えば、下院議会予算委員会委員11年目のジョン・ヤームス民主党下院議員(ケンタッキー州選出)は、長年の米国の善意の象徴だった“補助的栄養支援プログラム(SNAP、通称フード・スタンプで、低所得者向け食費補助政策、1964年にリンドン・ジョンソン民主党大統領が採用)”を2,000億ドル(約22兆2,000億円)削減する案など、共和党議員も賛同しないはずだと酷評している。...
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5月22日付米
『USAトゥデイ』紙:「議会、物議を醸すトランプ政権予算案の承認は困難」
ドナルド・トランプ大統領は5月23日、就任後初の年間連邦予算案(2018会計年度)を議会あてに提出するが、上・下院ですんなり審議・承認手続きが進むことは難しい。
例えば、下院議会予算委員会委員11年目のジョン・ヤームス民主党下院議員(ケンタッキー州選出)は、長年の米国の善意の象徴だった“補助的栄養支援プログラム(SNAP、通称フード・スタンプで、低所得者向け食費補助政策、1964年にリンドン・ジョンソン民主党大統領が採用)”を2,000億ドル(約22兆2,000億円)削減する案など、共和党議員も賛同しないはずだと酷評している。
また、下院の議会割当て予算委員会(議会予算委員会が大枠決定後に各々予算割当てを審議・承認する委員会)委員長のロドニー・フレリンギュセン共和党下院議員(ニュージャージー州選出)は、公共放送サービス、全米文人科学基金や国立衛生研究所の予算削減は絶対反対だとした上で、行政管理予算局(ホワイトハウス直属の組織)のミック・マルバニー局長のやり方を全く支持していないとコメントした。
なお、トランプ大統領は既に、今年9月までの今年度予算における国内経費支出の180億ドル(約2兆円)削減案について、共和党が多数を占める議会から猛反発を受けている。
5月23日付韓国
『KBSニュース』:「米下院、太平洋地域での軍事予算21億ドル増額を模索」
米
『CNNニュース』は5月22日、米下院議会軍事委員会が、北朝鮮や中国の脅威に対抗するため、太平洋地域の米軍事費を21億ドル(約2,330億円)増額する方針であると報じた。
共和党のマック・トンベリー下院議員(テキサス州選出)が今週法案を提出する予定で、武器・弾薬費用を10億ドル、終末高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)を含めたミサイル防衛費を10億ドル増額する案となっているという。
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「トランプ大統領の税制改革に疑問多数」
トランプ大統領が掲げる税制改革案は、米経済再活性化を目論んでいるため、産業界は支持している。しかし、米シンクタンクの全米税政策センターの試算では、トランプ税制改革によって今後10年で財政赤字が7兆ドル(約777兆円)増えるとし、米研究機関の連邦予算調査センターも、赤字幅が5兆5,000億ドル(約610兆5,000億円)増えると見込んでいる。
トランプ税制改革では、法人税を15%に減じるとしているが、既に先進国の中で非常に低い税率になっており、恩恵を被るのは米企業よりむしろ米進出の海外資本であろう。その他、同改革案は大企業に有利にはたらくが、低所得者層には結果的に重荷になるなどの問題点が指摘されている。
一方、中国の税制改革は米国案に比べて、より国内経済発展を支援するものとなっている。過日、李克強(リー・コーチアン)首相は政策綱領の中で1兆人民元(1,451億ドル、約16兆1,060億円)の税削減策を発表しているが、企業収入増を後押しする政策となっている。
(注)連邦政府予算案:日本の内閣と違って、大統領に予算法案を作る権限がなく、大統領が年に一度提出が許される予算案(大統領要求予算)は、議会上・下院の予算委員会の審議・承認を経て法案化され、上・下院本会議で可決(上院は60%以上、下院は過半数の賛成が必要)されて初めて予算執行が可能となる。なお、年度予算とは別枠として、大統領は補正予算・緊急補正予算(例えばイラク戦費、シリア戦費など)を随時議会に提案することが認められている。
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