上記指名は、4月16日に議員内閣制から大統領制に移行する憲法改正案の是非を問う国民投票が行われた結果、賛成が反対を上回り、大統領と党首の兼職が可能となったことに伴うものである。
こうした流れは、大統領に権力を集中させる「トルコ型大統領制」への最初のステップと考えられる。
従前、エルドアン大統領は、公正発展党が結成された2001年から13年間党首を務めていたが、従前の憲法では大統領に政治的中立性を求めていたため、2014年、大統領に就任後、党首を辞任し、党籍を離れていた。...
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上記指名は、4月16日に議員内閣制から大統領制に移行する憲法改正案の是非を問う国民投票が行われた結果、賛成が反対を上回り、大統領と党首の兼職が可能となったことに伴うものである。
こうした流れは、大統領に権力を集中させる「トルコ型大統領制」への最初のステップと考えられる。
従前、エルドアン大統領は、公正発展党が結成された2001年から13年間党首を務めていたが、従前の憲法では大統領に政治的中立性を求めていたため、2014年、大統領に就任後、党首を辞任し、党籍を離れていた。
また、臨時党大会では、党の規約や人事の刷新も同時に行われた。新設された党の新ポストである党首代理には、ユルドゥルム首相が就任し、党の最高意思決定機関である「中央決定運営機構」は、1人の副首相と労働社会保障相を含む19人がメンバーから外れ、新たに18人がメンバーに選出された。
トルコ国会は、1院制で、定数550議席のうち公正発展党は317議席(57.6%)を占め、エルドアン大統領は議会においても大きな影響力を持つことになる。
一方、トルコと諸外国との関係では、ドイツによるトルコ・インジルリク空軍基地の利用を巡り、ドイツ議員の同基地訪問を拒絶したり、米国によるクルド人部隊への武器供与に対し断固反対するなどギクシャクしている。
先日、トランプ大統領とエルドアン大統領はホワイトハウスで会談し、トランプ大統領は「我々は新たなテロの脅威にさらされている。IS(イスラム国)のようなテロ組織との戦いでトルコを支援する」との共同声明を出し米国とトルコとの連携を確認した。
しかし、エルドアン大統領は、「クルド人部隊のようなテロ組織に協力する(米国のクルド人部隊への武器供与する)ことは国際的に認められない」と米国を牽制した。
今後、トルコが、強力な指導者の下で、米国ともEUとも距離を置いて孤立し、イラン・北朝鮮のような核を保有するような国にならないことを願うばかりである。
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