コミー前米FBI長官の同僚によって2ページに渡って大変詳細に書かれたメモによれば2月にホワイトハウスで会議の終了後、トランプ米大統領はコミー前米FBI長官にフリン元米国家安全保障問題担当大統領補佐官とロシアの関係の調査を中止し、フリン元米国家安全保障問題担当大統領補佐官に対し対抗諜報調査を行い、FBIの誰がマスコミにこの問題をリークしたか調査するよう求めていた。このメモはフリン元米大統領補佐官が辞任した翌日の会議直後に書かれた。
トランプ米政権は声明で、フリン元米大統領補佐官の調査についてコミー前米FBI長官を含め誰に対しても調査を中止するよう依頼していないと、この報道を否定した。フリン元米大統領補佐官はトランプ米大統領が就任前にロシアへの米国の制裁を解除する件について駐米ロシア大使と会談していたことが明らかになり、その件で米副大統領をミスリードしたことで2月に辞任した。
コミー前米FBI長官の解任は米大統領選挙へのロシアの干渉問題とトランプ米大統領がFBIの調査を妨害しようとしているとの批判を招き、トランプ米政権に大きな打撃を与えた。コミー前米FBI長官はこのメモの内容を不適切と感じロシア問題の調査担当者には知らせなかった。FBIの報道官はこの件に関しコメントを拒否した。
一方、コミー前米FBI長官の後任人事が難航している。トランプ米政権は12人以上の候補者のうち少なくとも8人と面接し、5月19日に中東と欧州への訪問する前に決定したいとしていた。候補者には議員、FBIや司法省の幹部、連邦裁判官が含まれている。
候補の一人とされる元米テキサス州司法長官と米最高裁判所裁判官である米共和党のコーニン上院議員は、トランプ米大統領自ら電話をかけ就任を依頼したにもかかわらず、米国にはこれまで以上に信頼される独立したFBI長官が必要だとして断わった。別の候補者の米共和党のゴウディ下院議員も辞退した。数人の米上院議員から推薦された米連邦控訴裁判所のガーランド判事も関心がないと辞退した。
またトランプ米大統領が5月9日にFBIへの国民の信頼を回復するとしてコミー前米FBI長官を解任後、NBCニュースとウォールストリート・ジャーナルが5月11-13日に行った世論調査によれば米国の最高の法執行機関であるとしてFBIへの支持率は52%(不支持16%)と過去約20年で最高となっている。
FBIへの支持率は2016年7月初めにコミー前米FBI長官が米民主党のヒラリー大統領候補に対しメール問題で告発を勧告しないと発表後、6月の48%から40%に下がった。10月下旬にヒラリー大統領候補の多くの電子メールが見つかったと発表後12月には支持率37%(不支持27%)まで低下した。FBIへの支持率の上昇が、トランプ米大統領がコミー前米FBI長官を解任してFBIへの国民の信頼を回復させたため上昇したどうかは明らかではない。
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