来週、太平洋のグアム島とテニアン島で、フランスが主導する陸海空軍連携の訓練が実施されるが、これに米国、英国、日本も参加する。本軍事訓練は、ヘリコプターや哨戒機等によって兵士を送り、上陸作戦等を展開する。
中国の海洋進出により、最近同国が南シナ海での船舶の航行を制限する動きがあり、問題となっている。参加国には、公海における船舶の自由航行を訴える目的もある。
フランスからはインド洋と太平洋に4か月に亘って派遣されている2隻の軍艦が参加する。英国のヘリコプターや70隊の兵士、さらにフランスの水陸両用攻撃艦FS Mistral等がこれに加わる。訓練には、英国のヘリコプターがフランスの軍艦から米国の海軍基地に着陸するというようなものも含まれている。...
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中国の海洋進出により、最近同国が南シナ海での船舶の航行を制限する動きがあり、問題となっている。参加国には、公海における船舶の自由航行を訴える目的もある。
フランスからはインド洋と太平洋に4か月に亘って派遣されている2隻の軍艦が参加する。英国のヘリコプターや70隊の兵士、さらにフランスの水陸両用攻撃艦FS Mistral等がこれに加わる。訓練には、英国のヘリコプターがフランスの軍艦から米国の海軍基地に着陸するというようなものも含まれている。
中国は実質南シナ海全体を自らの海域と主張しており、滑走路を引いたり、レーダーを設置したり、最近では武器システムを配備する等して、殆ど海に埋まっていた7つの岩礁を前哨基地に変えることにより、積極的にその軍事力を示していると言われている。このことは周辺の環礁を自国のものと主張する他国や、公海での航行の自由を主張する米国からの強い懸念を招いてきた。
このような行動により、世界貿易の重要な航路や、水産資源の豊富な海域での船舶の航行を妨げているという批判に対して中国は、島の建設には軍事上の目的はなく、民間船舶の安全を確保することを意図したものと言っている。また軍の艦隊や航空機も含まれるかという問題は残るが、同水域での航行の自由や上空の飛行を侵害することはないと言う。
ワシントンにあるシンクタンク、新アメリカ安全保障センターの、アジア太平洋安全プログラム・シニアフェローであるミラ・ラップフーパー氏は、本訓練は中国の行動が問題となっている時に「アジアのルールに基づいた秩序」に従わねばならないという強いメッセージを送るだろうと言っている。また「本訓練は、米国以外の多くの国々も、その公海に関心があるということだ。」と述べた。
今週米上院外交委員会の民主・共和両党の議員がトランプ大統領に宛てて手紙を出し、昨年10月以来、米国は航行の自由を行使していないと懸念を表明している。共和党のボブ・コーカー上院議員、民主党のベン・カーディン上院議員他5名の上院議員が、中国は南シナ海で軍備を増強しており、同海域を支配する組織だった戦略を行使しているという、太平洋地域の米軍指揮官による最近の分析評価についてこれを支持し、トランプ政権に船舶航行と飛行の自由を常時行使するよう促した。南シナ海の現状を、米国の国家安全保障上の利益とアジア太平洋地域の平和にとって危機的なものであると表現している。
グアムでの訓練は、南シナ海における欧州諸国の利益や関心が少しずつではあるが、増している中で行われる、とホノルルのシンクタンク、パシフィックフォーラムCSISの核政策のシニアフェローであるデビッド・サントロ氏は指摘した。「英仏関係者から聞いているところでは、アジアで起きていることと、自分たちが支援できることについて、彼らの関心が増している。」と同氏は述べた。
この訓練はまた、地理的にはそう遠くない北朝鮮の関心を引くかも知れない。先月北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、米国が空母打撃軍をその地域に派遣した後、米国と北朝鮮の間の緊張が高まった。
日本は50人の陸自隊員、160人の海自隊員、上陸用舟艇等を送るが、尖閣問題等もあり自国領土の防衛が可能となるよう、陸海空合同訓練を行ってきている。また南シナ海の自由航行にも勿論関心を示していると報じられている。
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