ロシアは5月9日、第二次世界大戦中の1945年に旧ソ連軍がナチス・ドイツに勝利した、72回目の戦勝記念日を祝い、モスクワの赤の広場で大規模な式典と軍事パレードを行った。プーチン大統領は群衆を前に演説し、欧米諸国との対決姿勢を見せた。
この年に1度のパレードでは、軍の隊列、戦車や大陸間弾道ミサイルシステムなどとともに、北極圏の防衛用に設計された新しい地対空防衛ミサイルシステム等が初めて披露され、ロシアの防衛力が示された。ロシアは米国に次ぐ2番目の軍事大国であり、核を保有すると思われる9か国の中では最大の核戦力を持っているとも言われている。
また、ロシアは最近北極圏で2つ目の軍事基地をオープンした。北極圏では氷河が溶けて後退した結果発見された鉱物資源を巡って、米国、カナダ、ノルウェー等と争っているが、重要性を増している地域である。...
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この年に1度のパレードでは、軍の隊列、戦車や大陸間弾道ミサイルシステムなどとともに、北極圏の防衛用に設計された新しい地対空防衛ミサイルシステム等が初めて披露され、ロシアの防衛力が示された。ロシアは米国に次ぐ2番目の軍事大国であり、核を保有すると思われる9か国の中では最大の核戦力を持っているとも言われている。
また、ロシアは最近北極圏で2つ目の軍事基地をオープンした。北極圏では氷河が溶けて後退した結果発見された鉱物資源を巡って、米国、カナダ、ノルウェー等と争っているが、重要性を増している地域である。
これまでの数年は、ドイツのメルケル首相や、中国の習近平国家主席等の海外の要人がパレードに参加していたが、今回参加した外国の首脳は、モルドバのイゴル・ドドン大統領だけであった。なお、ロシアが3年前にウクライナから併合したクリミアや、シリアにあるロシアのフメイウム空軍基地でも小規模なパレードが行われている。
プーチン大統領は群衆に向かって演説し、「これまでの時代と同様、今日のロシア兵は勇気と英雄的気質を備えており、母国や国民のために、いつでも偉業を果たし犠牲になる用意がある。ロシアは他国に征服させない。」と、ウクライナやシリアの問題で対立を深める西側諸国への対抗心を表して述べた。
また「テロや過激主義、ネオ・ナチズム他の脅威に対して効果的に戦うためには、国際社会全体が統合される必要がある。我々はそうした協力関係にオープンであり、ロシアとパートナーシップを組む諸国を歓迎する。」として、決して他国には服従しない姿勢を見せた。
内戦が続くシリアについては、安全地帯(緊張緩和地帯)を設ける等の合意が整ったが、地域の一部で戦闘が続いており、停戦が実現するかは不透明な状況になっている。ロシアのラブロフ外相は、10日に米国のティラーソン国務長官とワシントンで会談し、シリアやウクライナ、北朝鮮問題等を議論する予定であるが、その後トランプ大統領とも会談する可能性がある。
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