5月8日に発表されたフィリピンのある世論調査によると、ドゥテルテ大統領の国内支持率は好調をキープしており、ほぼ80%の回答者が「非常に信頼している(much trust)」と回答している。
この世論調査は、ソーシャル・ウェザー・ステーションズ社という調査会社によって、2015年12月にドゥテルテ氏が大統領選挙への出馬を宣言して以来、継続して行われている。四半期毎にフィリピン人の支持率を追ったもので、今回は3月25日~28日に行われた2017年第1四半期の調査であり、約1,200人から回答を得た。「非常に信頼している」以外の回答では、「余り信頼していない(little trust)」、「わからない/答えない(undecided)」がそれぞれ約10%ずつあった。...
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この世論調査は、ソーシャル・ウェザー・ステーションズ社という調査会社によって、2015年12月にドゥテルテ氏が大統領選挙への出馬を宣言して以来、継続して行われている。四半期毎にフィリピン人の支持率を追ったもので、今回は3月25日~28日に行われた2017年第1四半期の調査であり、約1,200人から回答を得た。「非常に信頼している」以外の回答では、「余り信頼していない(little trust)」、「わからない/答えない(undecided)」がそれぞれ約10%ずつあった。
前回2016年12月の調査では、支持率は81%であったので、1ポイントほど下落している。調査を開始した2015年12月以降、当初は47%だったものの、昨年6月の大統領就任後は80%程度を維持し続けている。男女別に見ると女性(79%)より男性(83%)の方が高く、地域的にはやはり地元の南部ミンダナオ島で最も高く、90%を記録したが、これも前回の92%からは少し下がった。
フィリピン大統領府もこの結果を誇らしげに宣伝しており、「大統領は今日最も信頼されているリーダーであり続けている。麻薬、犯罪、腐敗等が深く根付いた文化を考慮に入れると、支持率は4四半期連続で素晴らしい水準にある。」と語った。
大統領の人気は色あせない。麻薬容疑者に対する超法規的な殺人など、厳しい撲滅キャンペーンの認知度が高まっているが、この悪影響はないようだ。ダバオの市長として22年の在職中実施してきた施策を大統領になってからも推し進め、民間人に麻薬犯罪人を殺すことを奨励し、報奨金を出した。12月の調査では、大統領の麻薬に対する政策が広く受け入れられていることが明らかになっている。80%の回答者が麻薬戦争に巻き込まれて殺されることに個人的に恐怖心を抱いているが、85%が大統領の問題解決のアプローチを是認すると述べた。
ドゥテルテ大統領の人気は、主に彼の庶民派で反エリートのイメージの産物である。大統領官邸であるマニラのマラカニアン宮殿に住むことを拒否し、首都にいない際にはミンダナオ島の質素な家に住んでいる。今年1月には日本の安倍首相を、マラカニアン宮殿ではなく地元の家で、伝統的な朝食とお気に入りの蚊帳でもてなした。
高い支持率は、経済が好調であることもその一因だ。またアジアの外交政策に本格的に取り組み出したということもある。大統領は5月10日からカンボジア、香港、中国等を歴訪し、カンボジアでは世界経済フォーラムの会合に出席する。
大統領は一度米国との絆を絶って中国への接近を試みたが、国民はこれを余り支持して来なかった。フィリピン人の外国への信頼度に関する最近の調査では、米国を信頼する人は79%おり、日本は75%、オーストラリア69%、英国53%と西側諸国に対する信頼度が高い一方、ロシアは42%、中国は37%と低い。米国の政権交代後は、トランプ大統領と友好的な協力関係を築こうと態度を改めており、ドゥテルテ大統領の中国訪問での出方が注目される。
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