アメリカに20年近くも住んでいるインド人のグルムック・シン氏は、国外追放命令の裁判を受けていて、長年上訴していたものの月曜日の裁判で「不法滞在者」の判決を言い渡され拘留された。執行停止を求めるも要求はかなわず、家族と離れ離れにならなくなった。
46歳でタクシードライバーのグルムック・シン氏は、宗教的な迫害を理由にビザなしで1998年にメキシコの国境を越えてアメリカへやってきたという。後に難民申請を行ったもの「不法滞在者」と認定され国外追放命令処分が下った。その後、問題は一度沈下するものの、2010年にアメリカ人女性と結婚するために居住査証を申請したために再び「不法滞在」が問題視されるようになり、一時的に逮捕され5か月間刑務所で過ごすことになる。
人権活動家により保釈金を肩代わりしてもらい、刑務所を出ることは可能となるものの、それ以降は上訴の戦いの日々が始まった。
家族の証言によると、上訴の申し立ての結果が出るまでグルムック・シン氏は何年もかけてICE(移民税関捜査局)と定期的にやり取りをしていたが、その努力も空しく高等裁判所の判決により上訴の要求は撤回されたという。
グルムック・シン氏の18歳の娘のマンプリート氏は「私の父は犯罪歴もなく、ただ家族のために日々頑張って働いているだけです。何の罪もないのに私たち家族は離れ離れにならなくてはいけなくなりました。娘としては、泣き崩れた父を見るのは耐えられません。」とAFPのインタビューに答えている。
ICEの広報担当者のローリー・ヘイリー氏は「アメリカは司法システムにおけるあらゆるレベルで不法移民の再調査を行っています。犯罪者を中心に調査を行いたいという趣旨はありますが、たとえ犯罪歴がないのだとしても不法滞在をしていたことには変わりはないため、国外追放処分から免除されることはありません。」と述べている。
トランプ政権に変わってからICEの取り調べは劇的に強化されたとのことであるが、そのような混乱の中でグルムック・シン氏は被害の対象となったと言える。
トランプ政権が不法移民を犯罪者と同様に一色単に扱う限り、今後もこのような問題が起き続けることが予測される。
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