マッカーシー米下院多数党院内総務は法案が可決するとの見方を示し、また以前同法案に反対していた一部の穏健派の共和党議員は、現在は賛成しているとしている。採決は、5月4日の正午までに予定されている。たとえ同法案が米下院を通過してもいまだに米共和党内で不一致の残る厳しい上院での採決が待っている。公約であるオバマケア廃止という、1月に就任以来初めての主要法案可決に向けてトランプ米大統領は議員と会い支援を呼びかけた。穏健派共和党議員はオバマケア見直しにより、医療保険に加入できない医療保険加入前発病歴のある人が急増するのではと懸念していたが、5年間で80億ドルの予算を追加すると言うトランプ米大統領による妥協案の提示により支持に転じた。同法案可決の見通しは先月米共和党の保守派の派閥が妥協案に合意してから開けた。
ただ専門家は80億ドルでは加入前発病歴のある人への対応をするには十分ではないとし、手頃な保険料で医療保障をリスクの高い患者が受けられるのか疑問を呈している。また米共和党は、修正された医療保険制度改革案による被保険者の増加数や費用増についての試算結果をまだ手に入れていない。当初の米共和党案ではオバマケアに比べ、2018年に1400万人の保険未加入者が増え、2017年から2026年の間に連邦政府の財政赤字が150億ドル削減されると予測していた。
オバマケアのおかげで数百万人以上の米国人が医療保険に加入できているが、米共和党は医療制度への政府の侵略であり、コストを押し上げていると非難していた。医療保険制度改革案の可決で数百万人が医療保険の加入資格を失うか保険料が値上げされると、米国の医師会、医療グループは激しく反対している。
米民主党は、医療保険加入前発病歴のある者が特定の州で保険から締め出されたり、保険料が値上げされたりするとして反対している。米上院でわずかの共和党議員が反対票を投じることで法案が先に進まなくなることに期待している。また2018年の米中間選挙でこの法案に賛成した共和党下院議員が議席を失うことに期待している。
ワシントン・ポストによれ、5月3日遅くの段階で20人の米共和党下院議員が法案に反対しており36人以上が未定としている。もし米民主党がこの法案に賛成しなければ米共和党は法案可決には22人以上の反対者を出してはならない。
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