北朝鮮のミサイル開発問題で中国やアジア各国にも協力を呼びかけているアメリカのトランプ大統領は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と「適切な状況下」であれば会談する用意があるとし、米朝首脳会談の可能性に言及したが、ホワイトハウス側はこれを否定し、北朝鮮がその適切な要件を満たさず会談の可能性は低いとしており、政権内の政策の不透明さを露呈している。また、「戦略的忍耐の時代は終わった」とし強硬姿勢を取れなければオバマ政権の二の舞になるとの焦りがあるトランプ政権の国務省は、「米国は北朝鮮の非核武装への話し合いによる解決の道を残しているが、話合いの再開の前に条件が変わる可能性もある」と声明を出しており、話し合いが軍事行動か、緊張状態が続いている。
5月1日付
『ロイター通信』は「トランプ氏、北朝鮮のミサイル実験継続の姿勢を受け北朝鮮との会談の可能性を示唆」との見出しで以下のように報道している。
「トランプ大統領は、核実験を続ける姿勢の北朝鮮に対し、機会があれば会談したいと意欲を示した。「適切な状況下なら、ぜひ会談させていただきたい」とブルームバーグのインタビューに答えたが、「適切な状況」の具体的条件には言及しなかった。しかし政府内からは批判され、スパイザー報道官は「現在適切は状況にはなく、会談の実現の可能性は低い」とした。...
全部読む
5月1日付
『ロイター通信』は「トランプ氏、北朝鮮のミサイル実験継続の姿勢を受け北朝鮮との会談の可能性を示唆」との見出しで以下のように報道している。
「トランプ大統領は、核実験を続ける姿勢の北朝鮮に対し、機会があれば会談したいと意欲を示した。「適切な状況下なら、ぜひ会談させていただきたい」とブルームバーグのインタビューに答えたが、「適切な状況」の具体的条件には言及しなかった。しかし政府内からは批判され、スパイザー報道官は「現在適切は状況にはなく、会談の実現の可能性は低い」とした。
金曜ティラーソン国務長官は、国連安保理に対し、米国は北朝鮮との交渉はしないと述べ、またペンス副大統領は月曜、大統領が「戦略的忍耐の時代は終わった」と述べたという。月曜夜、国務省の報道官は、「米国は北朝鮮の非核武装への話し合いによる解決の道を残しているが、話合いの再開の前に条件が変わる可能性もある」と声明を出した。米国戦略国際??研究センター|のアジア専門家は、「(金委員長を賞賛するような発言をした大統領と)トランプ政権の声明に整合性がみられない。金委員長との交渉につなげたいなら、明確な立場を示すべき」と述べる。ヒューマンライツウォッチのアジア所長は、「法を破る指導者を賞賛するトランプ氏を分析する心理学者になる必要はない。」トランプは人権を侵害する独裁者を賞賛することで問題を複雑にしたと批判している。
同日付
『AP通信』は「珍しい賞賛を述べ、トランプが北朝鮮との会談への意欲」との見出しで以下のように報道している。
「トランプ大統領は北朝鮮のキムジョンウン委員長を賞賛する言葉を述べ会談への意欲を示した。対してホワイトハウスは会談の可能性を否定した。トランプ氏のこれまでの北への辛らつな発言から譲歩的な発言への変化が見られた。一方、同氏と政府とのずれは、トランプ政権の北朝鮮政策の不透明さを露呈している。選挙期間中、トランプ氏はキム氏との会談への意欲を示していたが、大統領就任後は会談に言及してこなかった。オバマ大統領時代の「戦略的忍耐」は完全な失敗だったとし、トランプ政権はより攻撃的なアプローチをとり、北が態度を変えないならと、時には軍事的攻撃に出る可能性を示唆している。また、時には人参をぶら下げ、北との話し合いを示唆し、核開発を止めれば北朝鮮への食料支援を再開するとも言及している。
政権は、解決の鍵は中国にあるとし、中国を介しての平和的非核化への交渉(オバマ政権と同様)に期待する。しかし、ここでトランプ氏によるキム委員長賞賛発言は、新しいアプローチ。20代で政敵が多かっただろうに政権を掌握し、明らかに賢い人物であると述べた。スパイザー報道官は、北が態度を変えそれを証明出来る多くの条件が満たされない限り、現時点では会談はあり得ないとした。キム氏に関してはトランプ氏がキム氏を賞賛したことに同調し、若くして「国を主導した」と述べるに留まった。トランプ氏がキム氏との会談に意欲を示していることは、オバマ氏が2008年の同氏選挙中に米国と緊張関係にあった北朝鮮、イラン、キューバ等の指導者と前提条件なしでの会談に意欲を示したのと似ている。大統領時代オバマ氏はイランの首相と電話会談し、キューバを訪問している。」
閉じる