ベネズエラでは、今年3月下旬に、ニコラス・マドゥロ大統領寄りと言われる最高裁が、野党が過半数を占める議会の権限を制限する判断を示した。その後野党の反対等により撤回したものの、これに端を発して抗議デモが発生し、反大統領の動きが全国に拡大した。
こうした政情不安を背景にしたデモが首都カラカスを中心に連日行われており、治安当局との衝突により、これまで29人が死亡、400人以上が負傷し、約1,300人が身柄を拘束された。...
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ベネズエラでは、今年3月下旬に、ニコラス・マドゥロ大統領寄りと言われる最高裁が、野党が過半数を占める議会の権限を制限する判断を示した。その後野党の反対等により撤回したものの、これに端を発して抗議デモが発生し、反大統領の動きが全国に拡大した。
こうした政情不安を背景にしたデモが首都カラカスを中心に連日行われており、治安当局との衝突により、これまで29人が死亡、400人以上が負傷し、約1,300人が身柄を拘束された。石油価格の下落やインフレによる経済の混乱が生じており、街では略奪も多数発生している。
OASでは26日(水)に、マドゥロ政権が独裁化を強めているベネズエラの情勢を協議する緊急外相会議を招集することを決定した。こうした加盟国からの批判の動きに対し、同国はこれを内政干渉であり主権侵害に当たると強く非難し、脱退を決意した。
マドゥロ大統領はその後ツィッターで、「内政干渉者たちの権利の乱用や違法行為はもうたくさんだ。ベネズエラは解放者の発祥地であり、我々はそれを尊重する。」とつぶやいた。
OASは1948年に調印されたボゴタ憲章に基づき1951年に発足した。本部は米国の首都ワシントンにあり、米州地域の平和と安全保障、紛争の平和的解決等を目的としている。米国、カナダ、中南米諸国など計35か国が加盟しており、日本は1973年からOASの常任オブザーバー国の一つになっている。
OAS加盟国が脱退するのは今回が初めてのことであるが、脱退手続きは容易ではなく、約2年かかるとされている。ベネズエラはさらにOASへの債務870万ドルの支払いも行う必要がある。
米国のトランプ大統領は、木曜日にアルゼンチンのマクリ大統領とホワイトハウスで会談し、ベネズエラの状況について、非常に混乱した状態に陥っていると述べた。マクリ大統領は会談後、アルゼンチンに多くのベネズエラ人が避難や移住をしていることを明らかにし、「ベネズエラでは基本的人権が尊重されておらず、それは民主主義ではない。」と述べ、OAS域内の各国政府に、遅れている同国での新たな総選挙や、政治犯等として捕えられた人々の解放を求めていく必要性を説いた。
ベネズエラは日本にとって重要な貿易相手国であり、自動車を中心とした機械類の輸出を行っている。現地に進出する企業は20社以上あり、今回の政情不安の影響が心配される。
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