米民主党はトランプ米大統領が自ら運営する事業の税負担がこの税制改革案のおかげで縮小して数百万ドルの税負担が節約できるとし、トランプ米大統領が税制上の利益をどのくらい得られるかを理解するためにトランプ米大統領の税務申告書を発表するよう求めた。
この税制改革案ではこのほか、以下の内容が発表されている。①大企業が海外に保有する資金を米国内に戻す際にかかる税金に対するインセンティブ、②育児費用の減税、③標準税額控除額を2倍に引き上げ、③個人の所得税率の引き下げ(詳細は不明)、④ヘッジファンドや個別税率で税金を支払う企業に対する税率の引き下げ、⑤7つの既存の課税率を廃止し、10%、25%、35%の3つに置き換える。...
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米民主党はトランプ米大統領が自ら運営する事業の税負担がこの税制改革案のおかげで縮小して数百万ドルの税負担が節約できるとし、トランプ米大統領が税制上の利益をどのくらい得られるかを理解するためにトランプ米大統領の税務申告書を発表するよう求めた。
この税制改革案ではこのほか、以下の内容が発表されている。①大企業が海外に保有する資金を米国内に戻す際にかかる税金に対するインセンティブ、②育児費用の減税、③標準税額控除額を2倍に引き上げ、③個人の所得税率の引き下げ(詳細は不明)、④ヘッジファンドや個別税率で税金を支払う企業に対する税率の引き下げ、⑤7つの既存の課税率を廃止し、10%、25%、35%の3つに置き換える。
トランプ米大統領の税制改革案には新たな収入を上げるための提案は含まれていない。ライアン米下院議長が支持する輸入関税である国境税やトランプ米大統領が推進するインフラ整備計画の1兆ドルもこの計画には含まれていない。トランプ米政権はまたトランプ米大統領の娘イヴァンカ氏が主張する就労夫婦向けの子育て費用に関する優遇税制の拡大に取り組んでいる。
米下院や上米院で多数を支配している共和党は予算承認手続きを自分たちだけで進められるので、米民主党には国家債務を増やすこの税制改革案を止められそうにない。トランプ米大統領は今秋中に米議会で税制改革の通過を予定している。
トランプ米大統領の経営する不動産コングロマリットも対象となる中小企業の税率引き下げの有益性や、経済成長が法人税の減税をカバーできるのか、重要な連邦予算を削減して減税を実施することの有益性等、この税制改革案については様々な批判がある。ムニューシン米財務長官やコーン米経済担当大統領補佐官は多くの問題はやがて解決されると述べている。
この税制改革案について、法人税の減税は財政赤字を増大させ金利の上昇を招くと金融市場は懐疑的に評価している。米国東部標準時間4月26日午後1時30分にこの税制改革案が発表された後、株式は上昇したもののその後上げ幅を縮め、終値はS&P500、ダウ平均ともに若干下落した。ナスダックは横ばいだった。10年物米国債の債券利回りは2.30%に低下した。
ある債券の専門家はこの税制改革案が実行されれば金利は全面的に上昇する可能性があると述べた。この10年間米企業は債務を膨らませているが、法人税の減税は財政赤字を増大させ、金利の上昇を招き減税による企業収益の増加を利払いの増加で帳消しにする可能性があるとしている。2016年第4四半期末現在、米国の総事業債務は13.47兆ドルであり、金利が1%上昇すれば、約1,350億ドルの利払いが増加する可能性がある。家計については 住宅ローン、自動車ローン、 学生ローンからクレジットカードまでのすべての利息費用について1,470億ドルの上昇が見込まれる。
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