フランスのオランド大統領は、次期大統領選の決選投票では、中道主義者であるエマニュエル・マクロン候補に投票し、極右派のリーダーであるマリーヌ・ルペン候補は国の将来にとって大きなリスクであり、投票をしないようにと警告した。
大統領は官邸であるエリゼ宮から国民に対して演説し、もしルペン氏が権力を握ればフランスは孤立し、EUからも離脱することになるだろうと語った。
演説では、もしルペン候補が勝利すれば、これまでにない程物価が上昇し、大量の仕事が失われるとし、テロの脅威に直面し、我が国の結束・団結が求められている中、極右勢力はフランスを深く分断し、その出自や宗教によって一部の市民に汚名を着せることになるだろう、それは我が国の自由と共和国設立の原則を脅かすものである、と述べた。...
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大統領は官邸であるエリゼ宮から国民に対して演説し、もしルペン氏が権力を握ればフランスは孤立し、EUからも離脱することになるだろうと語った。
演説では、もしルペン候補が勝利すれば、これまでにない程物価が上昇し、大量の仕事が失われるとし、テロの脅威に直面し、我が国の結束・団結が求められている中、極右勢力はフランスを深く分断し、その出自や宗教によって一部の市民に汚名を着せることになるだろう、それは我が国の自由と共和国設立の原則を脅かすものである、と述べた。
マクロン候補と国民戦線のリーダーであるルペン候補が、日曜の一次投票で上位2名に残り、5月7日の決選投票で対決する。一次投票では、「アンマルシェ!(前進)」のマクロン候補が23.75%、極右勢力である国民戦線のルペン候補が21.53%を獲得した。
オランド大統領は現在フランス史上最も不人気の大統領と言われており、今回自身は出馬していない。同じ政党から出馬したブノア・アモン候補が、僅か6%しか獲得できずに一次投票で大敗した。
各種世論調査の結果では、マクロン候補は今回初めての立候補であるが、決選投票で少なくとも61%の票を獲得すると見られている。一次投票で敗退した二人の候補が反ヨーロッパ統治主義、反移民主義のルペン候補を抑えるためにマクロン候補の支持に回り、勝利すると見られている。
両候補とも5月7日の決選投票に向けて、既に選挙運動を再開した。マクロン候補はルペン候補が憎悪をあおっているとし、ルペン候補はマクロン候補を寡頭政治の候補者と、非難の応酬が続いている。
マクロン候補はテレビ出演し、「ルペン候補が勝てば経済は大混乱し、憎しみで分断される。無慈悲な政策、嫌悪や拒絶の政策は自分の側にはない。」と語った。一方ルペン候補も攻勢を強めており、マクロン候補を「イスラム過激派に対抗できない弱い候補である、不人気のオランド大統領や一部の特権エリート階級の後継者と批判した。
マクロン候補は一次投票の後、勝利のスピーチを行い、パリのビストロで祝杯を挙げた。あたかも決選投票での勝利は手中にあるかのように振る舞ったとして、ルペン候補だけでなく、支持者からも厳しく批判されている。オランド大統領からも、勝って当然と思わないようにと警告を受けた。
直近の世論調査では、60%以上の人が、ルペン候補の方が選挙運動をうまく再開したと考えており、40%以上の人が、マクロン候補がビストロで祝杯を挙げたことは失敗だったと感じていることが分かった。
排外的なイメージを和らげて支持層を広げる狙いがあると見られるが、ルペン候補は選挙活動に専念するために、一時的に国民戦線の党首を離任する、とテレビのインタビューで語った。国民戦線の候補者ではなく、同党から支援を受けた「国民の候補者」であり、「寡頭政治の候補者」と戦うと主張している。マクロン候補のビジョンには実体がなく、大都市のための観点しかないとし、自分は地方で選挙運動をしてきたと語った。
さらに選挙はまだ終わっていない。国民はそれに対して大きなサプライズを用意しているとルペン候補は述べた。実際ルペン候補にもチャンスが残っていると分析する専門家もいる。
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