【Globali】
インドの物品サービス税導入(2017/04/26)
昨年11月腐敗・脱税を防ぐための高額紙幣廃止を決定して経済改革に取り組むインドのモディ首相が次に施行を予定しているのが、物品サービス税の統一である。インドでは現在29の州が独自の物品サービス税を決めて課税しているため、州の間を移動する取引では州毎の課税で税金が多額になり、経済の発展を阻害する要因となっている。モディ首相はこの物品サービス税を全国で統一して連邦政府が課税しその税収を州に配分する方式に変更することを予定しており7月1日施行を目標にしている。現在州議会承認を得る過程にあり7月1日施行は未だ予断を許さないが、実施されれば欧州でのEU創設にも比肩される動きであり、成長が続くインド経済に更に弾みが着くと期待されている。
4月24日付
『ブルームバーグポリティクス』は、「トランプ税制改革よりも難しいインドの税制改革」という見出しで物品サービス税の導入を、くもの巣のような税制、分かりにくい規制、絶え間ない政争の下、10億人以上の消費者、29の州、22の公式言語、900万の会社を有する経済を共同市場に統一するという困難な課題であると紹介している。インドは現在10年間に亘った強力な州政府や扱いにくい政党との戦いの後、物品サービス税の導入のため準備を行っている。...
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4月24日付
『ブルームバーグポリティクス』は、「トランプ税制改革よりも難しいインドの税制改革」という見出しで物品サービス税の導入を、くもの巣のような税制、分かりにくい規制、絶え間ない政争の下、10億人以上の消費者、29の州、22の公式言語、900万の会社を有する経済を共同市場に統一するという困難な課題であると紹介している。インドは現在10年間に亘った強力な州政府や扱いにくい政党との戦いの後、物品サービス税の導入のため準備を行っている。世界有数の高成長経済の国で州際取引の自由化、納税意識の向上、商取引の簡略化を目指す物品サービス税の導入は7月1日を予定している。
これまでインドでは州を越えて物やサービスが移動し、部品やサービスが追加される度に異なる税率で複数回の課税が行われていた。毎日ニューデリーの122のチェックポイントを通過するために2万台のトラックが3キロの列を作り、食品は腐敗し、神経をすり減らし、コストは増加していた。今後は最終消費の段階でのみ課税されるので、税金の上に税金が課されることはなくなるし、納税手続きも簡素化し、脱税も減ると期待されている。モディ首相は新税の導入により2%の経済成長率増加が見込まれていると語る。連邦準備銀行の試算では、導入される税率にもよるが最大4.2%の経済成長率増加が予測されており、税率が低いほど経済成長への寄与は大きい。
ここまで来るのに10年が経過している。モディ首相は西部グジャラート州首相時代は反対していたが、2014年に連邦政府首相になって賛成に回った。また導入のため480億円もの費用が支払われ、61,000人の政府職員が準備のため訓練されている。また、物品サービス税の導入は便乗値上げによりインフレを悪化させるという批判もあるが、経済学者の見方は物価上昇があったとしても一時的なものに収まるというもの。一時的な混乱はあっても長期的に見ればインド経済に貢献すると見られており、特に世界銀行から商取引の容易さで190ヶ国中130位にランクされている現状が改善され、海外からの直接投資の増加に結びつくものと期待されていると報じている。
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