2014年5月のタイ軍事クーデター以降、タイと欧米の関係は必ずしもうまくいっていなかった模様で、この程、同軍事政権が中国製新型潜水艦を購入することが判明した。中国は、タイとは南シナ海で領有権問題を抱えていないが、カンボジア・ラオスに続いて、東南アジア諸国連合(ASEAN)内での中国支援国を増やす目論見とみられる。
4月24日付米
『ジ・エポック・タイムズ』(
『ロイター通信』配信):「タイ、中国製潜水艦を3億9,300万ドルで購入決定」
タイ軍事政権報道官のサンサーン・コーカムナード大佐は4月24日、同政権が4月18日の閣議で、中国製S26T型潜水艦1隻を135億バーツ(3億9,300万ドル、約430億円)で購入することを決定したと明かした。
元々タイ政権は昨年7月、中国製潜水艦3隻を360億バーツ(10億500万ドル、約1,150億円)で購入する話を進めていたことが報じられていた。...
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4月24日付米
『ジ・エポック・タイムズ』(
『ロイター通信』配信):「タイ、中国製潜水艦を3億9,300万ドルで購入決定」
タイ軍事政権報道官のサンサーン・コーカムナード大佐は4月24日、同政権が4月18日の閣議で、中国製S26T型潜水艦1隻を135億バーツ(3億9,300万ドル、約430億円)で購入することを決定したと明かした。
元々タイ政権は昨年7月、中国製潜水艦3隻を360億バーツ(10億500万ドル、約1,150億円)で購入する話を進めていたことが報じられていた。
世論からは、タイが新型潜水艦を購入する必要性や財政状況を疑問視する声が上がっているが、海軍報道官のジャンポール・ルームピカノン大将は、タイは60年程前に4隻の日本製潜水艦を保有していたが、現在は保有しておらず、一方、タイを取り巻く緊張が高まっていることもあり、タイの海洋権益を堅持していく上で必要不可欠なものだと主張した。
4月25日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「タイ軍事政権、中国製潜水艦を“破格の3億9,300万ドル”で購入」
タイは、2014年軍事クーデター以降、長きにわたって親交のあった米国から離れて、中国との距離を縮めてきており、タイ軍事政権はこれまで、中国から数十台の戦車を導入し、また、3隻の潜水艦の購入も計画している。
プラウィット・ウォンスウォン国防相は4月25日、(今回の潜水艦1隻の購入決定について)中国側との取引は“公明正大”で、かつ、タイにとって破格の買い物だと強調した。
同日付タイ
『バンコック・ポスト』紙:「潜水艦購入を“密かに”決定」
国防省報道官のコンチープ・タントラバニック少将は4月24日、政権としては中国製潜水艦購入決定について公式発表するつもりはなかったとしながらも、購入の話は以前に既に公表されていたとコメントした。
また、同少将は、タイは60年前に潜水艦を保有していたことがあり、今回再度保有することになったというだけの話だとも付言した。なお、今回の中国宛の支払方法は、2017年以降6年にわたる分割決済であるし、更に、合計3隻を購入する計画で、その価格は360億バーツで、都合11年間の分割だとも言及した。
一方、海軍及び国防省は、周辺国の軍備増強に伴い、タイとしても海洋権益を堅持するために潜水艦が必要不可欠だと強調した。情報関係筋によると、マレーシアは潜水艦を2隻保有、シンガポールは4隻保有で追加2隻購入予定、ベトナムは6隻保有、インドネシアは2隻の古いドイツ製潜水艦の代わりに、3隻の韓国製新型潜水艦を購入予定であるという。
更に、プラウィット国防相は、中国製潜水艦3隻の購入について、価格の高い欧州製に比べたら、“2隻購入で追加1隻は只”というバーゲン価格になるとコメントした。
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